はじめての簿記講座-第24回−有価証券の売買の仕訳
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株の儲けには、「有価証券売却益」(ゆうかしょうけんばいきゃくえき)を使う株の損には、「有価証券売却損」(ゆうかしょうけんばいきゃくそん)を株の売買代金と、株の原価との差額が「損」や「益」となる |
前回ご紹介した流れに従って、仕訳をしてみましょう。移動平均法で示した表は次のようなものでしたね。
入り |
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出 |
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摘要 |
株 |
金額 |
単価 |
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株 |
金額 |
単価 |
繰越 |
35 |
700 |
20 |
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朝一番の買付 |
15 |
450 |
30 |
午前の売却 |
30 |
690 |
23 |
午後の買付 |
10 |
260 |
26 |
午後の売却 |
15 |
360 |
24 |
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残った株式 |
15 |
360 |
24 |
計 |
60 |
1,410 |
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60 |
1,410 |
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仕訳を見ていきましょう。全て現金で売り買いしたとしましょう。
朝一番の買付については、あまり問題ありませんね。有価証券を買った結果、現金が少なくなったので、現金を貸方、代わりに有価証券を借方に置いて、
(借方) 有価証券 450 (貸方) 現金 450
午前中の売却についてはどうでしょうか。30株売ったときの相場は28円だったので、上で移動平均法によって計算した単価23円と比較して1株あたり5円儲かったことになります。売ったあとに手元に残る現金は、30株X28円=840円となります。代わりに、売った有価証券の金額(原価)は、上の表から690円になります。したがって、
(借方) 現金 840 (貸方) 有価証券 690
ただし、これでは借方と貸方の金額が合いません。借方と貸方は必ず金額が一致しなければなりませんから(貸借一致の原則)、差額840−690=150円を何とかしなければなりません。この150円は、1株当たり5円の儲け30株分ですから、「株の儲け」として仕訳すれば良いのです。このような株の儲けには、「有価証券売却益」(ゆうかしょうけんばいきゃくえき)という勘定科目を使います。
(借方) 現金 840 (貸方) 有価証券 690
有価証券売却益 150
つづく取引も仕訳してみましょう。
午後の買付については、朝一番の買い付けと同様、
(借方) 有価証券 260 (貸方) 現金 260
となります。また午後の売却については、15株売ったときの相場は31円だったので、上で計算した単価24円と比較して1株あたり7円儲かったことになり、仕訳は
(借方) 現金 465 (貸方) 有価証券 360
有価証券売却益 105
となります。もし、仮に15株売ったときの相場が21円まで下がってしまっていたらどうでしょうか。1株当たり24−27=3円損したことになります。このときは、手取り現金は21円X15株=315円となり、仕訳は
(借方) 現金 315 (貸方) 有価証券 360
となって、やはり貸借が合わなくなります。今度は借方が45円足りません。これは1株当たり3円X15株=45円だけ損したことになるので、「有価証券売却損」(ゆうかしょうけんばいきゃくそん)という勘定科目を使って調整します。
(借方) 現金 315 (貸方) 有価証券 360
有価証券売却損 45
このように、株の売買代金と、株の原価との差額が「損」や「益」となることに注意してください。
次回は、これまでの説明とは少し違って、利息の計算方法を少し取り上げて見ましょう。