はじめての簿記講座-第24回−有価証券の売買の仕訳

Updated on 11/24/99

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キーワード:

株の儲けには、「有価証券売却益」(ゆうかしょうけんばいきゃくえき)を使う
株の損には、「有価証券売却損」(ゆうかしょうけんばいきゃくそん)を
株の売買代金と、株の原価との差額が「損」や「益」となる

前回ご紹介した流れに従って、仕訳をしてみましょう。移動平均法で示した表は次のようなものでしたね。

入り

 

 

 

 

 

 

摘要

金額

単価

 

金額

単価

繰越

35

700

20

 

 

 

 

朝一番の買付

15

450

30

午前の売却

30

690

23

午後の買付

10

260

26

午後の売却

15

360

24

 

 

 

 

残った株式

15

360

24

60

1,410

 

 

60

1,410

 

仕訳を見ていきましょう。全て現金で売り買いしたとしましょう。

朝一番の買付については、あまり問題ありませんね。有価証券を買った結果、現金が少なくなったので、現金を貸方、代わりに有価証券を借方に置いて、

(借方)    有価証券              450         (貸方)    現金       450

午前中の売却についてはどうでしょうか。30株売ったときの相場は28円だったので、上で移動平均法によって計算した単価23円と比較して1株あたり5円儲かったことになります。売ったあとに手元に残る現金は、30株X28円=840円となります。代わりに、売った有価証券の金額(原価)は、上の表から690円になります。したがって、

(借方)    現金       840         (貸方)    有価証券              690

ただし、これでは借方と貸方の金額が合いません。借方と貸方は必ず金額が一致しなければなりませんから(貸借一致の原則)、差額840−690=150円を何とかしなければなりません。この150円は、1株当たり5円の儲け30株分ですから、「株の儲け」として仕訳すれば良いのです。このような株の儲けには、「有価証券売却益」(ゆうかしょうけんばいきゃくえき)という勘定科目を使います。

(借方)    現金       840         (貸方)    有価証券              690

                                                        有価証券売却益    150

つづく取引も仕訳してみましょう。

午後の買付については、朝一番の買い付けと同様、

(借方)    有価証券              260         (貸方)    現金       260

となります。また午後の売却については、15株売ったときの相場は31円だったので、上で計算した単価24円と比較して1株あたり7円儲かったことになり、仕訳は

(借方)    現金       465         (貸方)    有価証券              360

                                                        有価証券売却益    105

となります。もし、仮に15株売ったときの相場が21円まで下がってしまっていたらどうでしょうか。1株当たり24−27=3円損したことになります。このときは、手取り現金は21円X15株=315円となり、仕訳は

(借方)    現金       315         (貸方)    有価証券              360

となって、やはり貸借が合わなくなります。今度は借方が45円足りません。これは1株当たり3円X15株=45円だけ損したことになるので、「有価証券売却損」(ゆうかしょうけんばいきゃくそん)という勘定科目を使って調整します。

(借方)    現金       315         (貸方)    有価証券              360

              有価証券売却損    45

このように、株の売買代金と、株の原価との差額が「損」や「益」となることに注意してください。

次回は、これまでの説明とは少し違って、利息の計算方法を少し取り上げて見ましょう。

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