はじめての簿記講座-第23回−有価証券の流れ

Updated on 11/23/99

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株式や債券のことを「有価証券」(ゆうかしょうけん)と呼びます

有価証券の場合は、移動平均法か総平均法で計算する

前回までは、商品の流れについてご紹介しました。今回は、株式や債券を売り買いしたときの流れについて説明しましょう。

最近では株式や債券の売り買いも個人で一般的になってきました。会社でも株式や債券を売り買いすることがよくあります。取引相手の株を買って、関係を強化したり、資金に余裕ができたときに株式や債券で運用するなどがその目的です。株式や債券のことを「有価証券」(ゆうかしょうけん)と呼びます

有価証券を売り買いする流れも商品の流れと同じように考えてください。買うときは商品の仕入と同じです。売るときについても、値段のあるものだけに得したり損したりすることもありますが、幾らで買ったものを幾らで売ったかがはっきりわからなければ得したか損したかが分からないわけです。

前回の八百屋さんの例を再び考えてみましょう。ニンジンの代わりにある会社の株式を売り買いすることを考えてみましょう。

昨日まで持っていたある会社の株式(前回までのニンジンと同じ)は、35株(単価20円、合計700円)でした。
今日は朝一番に、株式15株を買いました。その時の株価は30円、したがって合計は450円でした。
今日の午前中に手持ちの株式のうち30株を売り(このときの相場は28円としましょう)、したがって昼の手持ち株式は20株です。つぎに、午後にもう一度株式10株を仕入れて、それが株価26円だったとしましょう。さらに、午後は株式が全部で15株売れました(このときの相場は31円としましょう)。

さて、有価証券の場合は、移動平均法か総平均法で計算することになっています。なぜ先入先出法や後入先出法がないかは後で説明します。

これを勘定の形で書くと次のようになります。株式の買い付けと売却の順番を考慮して書いてあるため、途中に空欄があります。

入り

摘要

金額

単価

金額

単価

繰越

35

700

20

朝一番の買い付

15

450

30

午前の売却

30

午後の買付

10

260

26

午後の売却

15

残りの株式

15

60

1,410

さて、移動平均法では、出入りするたびにその時にあるものすべてを同じ単価として計算し直すのでした。したがって、

朝一番で買い付けた後の単価は全部で、昨日の残りと合わせて、(700円+450円)÷(35株+15株)=23円 となります。したがって、午前中の売却は原価の単価が23円で30株売ったことになりますので、売却した原価は23X30=690円、午前中の残りの株は、23×20=460円となります。

次に、午後にもう一度買付けてくると、その時の単価は全部で、(460円+260円)÷(20株+10株)=24円となります。したがって、午後の売却は原価の単価が24円で15株売ったことになりますので、売却した原価は24X15=360円、午前中の残りは、24X15=360円となります。

さて、表をもう一度、移動平均法に従って書き直して見ましょう。

入り

摘要

金額

単価

金額

単価

繰越

35

700

20

朝一番の買付

15

450

30

午前の売却

30

690

23

午後の買付

10

260

26

午後の売却

15

360

24

残った株式

15

360

24

60

1,410

60

1,410

30株売ったときの相場は28円だったので、上で計算した単価23円と比較して1株あたり5円儲かったことになります。次に、もう一度株式を15株売ったときの相場は31円だったので、上で計算した単価24円と比較して1株あたり7円儲かったことになります。

今回は移動平均法で計算しましたが、総平均法でも流れは一緒です。次回は、今回ご紹介した流れを仕訳にしてみましょう。


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