はじめての簿記講座 

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第17回−商品の流れ(その2-個別法)

キーワード: 

売上分に相当する商品分を「売上原価」(うりあげげんか)と呼ぶ

売上原価は、売上に相当する「原価」つまり仕入にかかった費用である

「売上原価」=前回の繰越商品+今回の仕入−今回の繰越商品

通常は「売上原価」勘定を敢えて作らず、仕入勘定を使って「売上原価」の代わりにする

仕入れたものがどれだけ売れ残ったかがはっきり分かるような計算方法を個別法(こべつほう)という

 

前回は、フリーマーケットを例にとって商品の流れについてご紹介しました。今回は、再度フリーマーケットへ出品するときの商品の流れについて説明しましょう。

前回の続きを考えてみます。前回のフリーマーケットでは、500円で買った本が売れ残ってしまいました。売れ残った商品は、「繰越商品」という勘定科目で表されるのでした。

(借方) 繰越商品 500 (貸方) 残高 500

「残高」勘定を覚えていますか。前の月、つまりすでに決算を締めてしまった後は、その残った勘定残高を「残高」勘定で表すのでした。第8回でご紹介しています。

翌月のフリーマーケットのために、次のように再び仕入れを行います。本来不要なものを売りさばくのがフリーマーケットなので、「仕入れる」というのは少しおかしいですが、家族から格安で譲ってもらったと考えてもよいでしょう。

古本1,000円を1冊、Tシャツ2,000円を1枚、アクセサリー800円を現金で仕入れた。仕訳はどのようになりますか。

(借方) 仕入 3,800(貸方) 現金 3,800

さて、いよいよフリーマーケットへ出展です。今回は5,000円が売上代金として手元に残りました。また、アクセサリーは残念ながら売れ残りです。すると、売上の仕訳はどうなりますか。

(借方) 現金 5,000 (貸方) 売上 5,000

今回の儲けは幾らになるでしょうか。ここで、売上5,000−仕入3,800=もうけ1,200円というのは、短絡的だということは前回説明した通りです。今回の売れ残りのアクセサリー800円は仕入分から差し引かなければなりません。ただし、前回の売れ残りの古本500円は、今回は一緒に売れていることにも注意してください。したがって、儲けは、

 売上5,000−(前回の売れ残り500+仕入3,800−今回の売れ残り800)
=売上5,000−今回売上分に相当する商品分3,500
=もうけ1,500円

この、売上分に相当する商品分を「売上原価」(うりあげげんか)と呼びます。売上に相当する「原価」つまり仕入にかかった費用、というわけです。上の式からわかるように、

「売上原価」=前回の繰越商品+今回の仕入−今回の繰越商品

という式で表されます。

これを仕訳で示すと次のようになります。なお、通常は「売上原価」勘定を敢えて作らず、仕入勘定を使って「売上原価」の代わりにします。

(借方) 仕入 500 (貸方) 繰越商品 500

前回の売れ残りを仕入に加えました。

(借方) 繰越商品 800 (貸方) 仕入 800

今回の売れ残りを仕入から差し引きました。これで仕入は自動的に売上原価として計算されるわけです。 

さて、このように商売が終わったときに、幾らで仕入れたものがどれだけ売れ残ったかがはっきり分かるような計算方法を個別法(こべつほう)といいます。今回のケースでは明らかに、800円で仕入れたアクセサリーが残っていることがはっきり分かるから、つまり商品の一つ一つを「個別」に管理できるからです。

次回は、もう少し商品の取り扱いが複雑な場合について説明しましょう。

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