はじめての簿記講座-36-決算と損益計算書・貸借対照表

Updated on 12/16/99

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「損益計算書」(そんえきけいさんしょ)とは、残高試算表から収益と費用だけを抜き出したもの

「損益計算書」は、今回の決算までの商売の活動を表したものになる

手元に残して、来年はさらに商売を大きくしていく儲けを「繰越利益」(くりこしりえき)という

残高試算表から損益計算書を除いた残りに繰越利益を入れたものを「貸借対照表」(たいしゃくたいしょうひょう)という

「貸借対照表」は、今商売を清算したら、手元に幾ら残るか、を表したものになる

純利益と繰越利益によって、損益計算書や貸借対照表の合計が合う

前回は、決算と損益について説明しました。

もう一度、前回の残高試算表を見直してみましょう。

借方

 

貸方

 

売掛金

6,000

借入金

10,000

前払利息

250

   

備品

4,000

   

仕入

4,000

売上

6,000

減価償却費

1,000

   

支払利息

750

   

合計

16,000

合計

16,000

簿記から見た儲けは、費用と収益の部分(黄色い部分)だけを見て、6,000(4,0001,000750)250円でした。収益から費用を全部差し引いた最後の儲けを「純利益」というのでしたね。そこで、純利益を上の部分に加えて、収益と費用の部分だけを抜き出してみると、次のようになります。

借方

 

貸方

 

仕入

4,000

売上

6,000

減価償却費

1,000

   

支払利息

750

   

純利益

250

   

合計

6,000

合計

6,000

この表を見ると、今回の決算で何がどのくらい儲かり、そのために幾ら費やしたかがよく分かります。たとえば、

今回の売上は全部で6,000円、その仕入原価(売上原価)は4,000円でした。したがって、原価の2割増で売ったことになります。
(商売をするために備品を買い)今年はそのうち
1,000円分を減価償却しました。
借入金の利息に
750円を支払いました。

このように、残高試算表から収益と費用だけを抜き出したものの集計表は今回の決算までの商売の活動を表したものになります。これを「損益計算書」(そんえきけいさんしょ)と呼びます。

さて、残高試算表から損益計算書を抜き出した残りはどうなるでしょうか。

借方

 

貸方

 

売掛金

6,000

借入金

10,000

前払利息

250

   

備品

4,000

   

合計

10,250

合計

10,000

損益計算書の分を抜き出すと、貸借が合わなくなってしまいました。その差は250円であり、純利益の金額であることに注目してください。この利益は今年の儲けです。仮に、借入金10,000円をもし今返済しなければならなくなったとき、売掛金や前払利息、備品などを処分したり換金して上の金額通りまかなった後にも手元には250円残るわけです。したがって、この儲けを手元に残して、来年はさらに商売を大きくしていくことができます。このような儲けを「繰越利益」(くりこしりえき)といいます。

繰越利益の分を入れてやれば、合計が合うようになります。

借方

 

貸方

 

売掛金

6,000

借入金

10,000

前払利息

250

繰越利益

250

備品

4,000

   

合計

10,250

合計

10,250

このような、残高試算表から損益計算書を除いた残りに繰越利益を入れたものを「貸借対照表」(たいしゃくたいしょうひょう)と呼びます。貸借対照表は、現在換金可能な売掛金や備品といったもの、それに借入金などの負債を合計したものを表しています。つまり、今商売を清算したら、手元に幾ら残るか、を表したものと考えてもよいでしょう。

さて、損益計算書や貸借対照表の合計を合わせるためには、それぞれ純利益と繰越利益を使えばよいことが分かりました。つまり、決算の最後に儲けを計算したときに、次のような仕訳をしてやれば、損益計算書や貸借対照表の合計は最初から合うことになります。

(借方) 純利益 250 (貸方) 繰越利益 250

 

次回は、これまでの簿記の特徴をまとめてみましょう。


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