はじめての簿記講座-第35回-費用・収益と決算
Updated on 08/02/2003
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現金の流れ(おこづかい帳)と簿記の流れとは異なる 簿記の流れは決算の期間にしたがって、費用や収益を配分するのが目的 |
前回は、減価償却や前払・前受・未払・未収もすべて、一定の期間に区切った決算の費用と収益からみた「儲け」を計算するためということを説明しました。
ここで、一番最初にご紹介したおこづかい帳にさかのぼって、簿記との違いをもう一度比較してみましょう。1月1日から12月31日までの1年間、シンプルに次のような取引があったとします。この会社の決算は、1月1日に始まり、12月31日に終わるとしましょう。
(1) 4月1日に10,000円借り入れた。満期は1年、利率は10%で先払い(借入時に差し引かれた)。
(2) 5月1日に商品を4,000円で仕入れ、代金は現金で支払った。
(3) 10月1日に備品5,000円を現金で購入した。5年間使用する予定。
(3) 12月1日に5/1で仕入れた商品を全て6,000円で販売、代金は掛けとした。
(4) 翌年の2月1日に、12/1に販売した商品の掛け代金6,000円を現金で回収した。
現金でおこづかい帳をつけてみましょう。
日付 |
摘要 |
収入 |
支出 |
残高 |
4/1 |
借入(利息は差し引き) |
9,000 |
9,000 |
|
5/1 |
商品仕入 |
4,000 |
5,000 |
|
10/1 |
備品購入 |
5,000 |
0 |
|
翌年2/1 |
掛け代金を回収 |
6,000 |
6,000 |
さて、おこづかい帳からみて、1/1から12/31までに幾ら儲かったか分かるでしょうか。現金の収入が9,000円あったこと、逆に支出も9,000あったこと、したがって12/31に手元には現金は結局0円であったことは分かりますが、では、儲けは0円でよいでしょうか。
簿記で仕訳してみましょう。
4/1 (借方) 現金 9,000 (貸方) 借入金 10,000
前払利息 1,000
(注)前払利息=10,000X10%=1,000 (1年分を先払)
5/1 (借方) 仕入 4,000 (貸方) 現金 4,000
10/1 (借方) 備品 5,000 (貸方) 現金 5,000
12/1 (借方) 売掛金 6,000 (貸方) 売上 6,000
決算 (借方) 支払利息 750 (貸方) 前払利息 750
(注)支払利息=1,000 (1年分先払)X9ヶ月分÷12ヶ月=750
決算 (借方) 減価償却費 1,000 (貸方) 備品 1,000
(注)減価償却費=1,000=備品5,000÷5年=1,000。なお厳密には減価償却費も利息と同じく月割計算しますが、ここでは簡単に年割にしておきます。
2/1 (借方) 現金 6,000 (貸方) 売掛金 6,000
12/31で決算が終わったときの残高試算表はどうなるでしょうか。決算まですべての仕訳を集計してみてください。
借方 |
貸方 |
||
売掛金 |
6,000 |
借入金 |
10,000 |
前払利息 |
250 |
||
備品 |
4,000 |
||
仕入 |
4,000 |
売上 |
6,000 |
減価償却費 |
1,000 |
||
支払利息 |
750 |
||
合計 |
16,000 |
合計 |
16,000 |
簿記から見た儲けは幾らでしょうか。黄色で塗りつぶした部分が費用と収益です。したがって、
6,000−(4,000+1,000+750)=250
が儲けになります。このように、
現金の流れ(おこづかい帳)と簿記の流れとは違うので注意してください。簿記の流れは決算の期間にしたがって、費用や収益を配分するのが目的であるためです。次回は、この流れを踏まえて、決算をもう一度見直してみましょう。