はじめての簿記講座-第32回-損失について

Updated on 12/9/99

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損失がでた場合は、借方に損失、貸方に資産として仕訳する

前回までは、未収・未払・前受・前払をまとめてみました。今回は損失について説明してみましょう。

商売は順調に行くとは限らず、不幸にしていろいろな損をしてしまうことがあります。たとえば、商売相手の倒産や火事などによる建物の焼失、株価の暴落などです。

こういう損失の仕訳はどうしたらよいでしょうか。商売相手の倒産を例に取りましょう。普通に商品を売り、順調に現金を回収できた場合を見てみましょう。

(借方) 売掛金 10,000 (貸方) 売上 10,000・・・(1)
(借方) 現金 10,000 (貸方) 売掛金 10,000・・・(2)
まず、(1)で商品を売った商売相手が倒産してしまうと、本来(2)で現金で回収できたはずの売掛金10,000円は回収できなくなってしまいます。つまり現金として借方に仕訳する代わりに、損失に化けてしまいます。

(借方) ??損失 10,000 (貸方) 売掛金 10,000

商売相手が倒産して回収できなくなることを「貸倒」(かしだおれ)といいます。そこで、このように貸倒れで回収できなくなった損失を「貸倒損失」(かしだおれそんしつ)といいます。

(借方) 貸倒損失 10,000 (貸方) 売掛金 10,000

このように、損失がでたときの仕訳は、

(借方) 損失 10,000 (貸方) 売掛金などの資産 10,000

のように仕訳することになります。

一方、火事による建物の焼失はどう仕訳したら良いでしょうか。火事によって、建物という「資産」が失われてしまうので、

(借方) ??損失 10,000 (貸方) 建物 10,000

火事による損失は「火災損失」(かさいそんしつ)という勘定科目を使います。そこで、

(借方) 火災損失 10,000 (貸方) 建物 10,000

となります。

ところで、この損失を表す勘定科目の名前ですが、必ずしも一通りには決まっていません。損失はめったに起こるものではないので、その都度その損失の内容を示すようなはっきりした名前をつけることが多いのです。したがって、勘定科目の名前は今のところはこだわらないでおきましょう。ここでは、借方に損失、貸方に資産をもって仕訳する、というロジックだけを覚えてください。

さて次回は、この損失を踏まえて減価償却について考えてみましょう。


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