はじめての簿記講座-第30回−前払について

Updated on 12/2/99

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決算時点では既に現金などで支払ってしまっているが(前払の)利息があり、実際に利息として考えられるのは翌期以降満期が来るまで、というときは「前払利息」(まえばらいりそく)という勘定科目を使う

前回までは、利息の前受について説明しました。今回は同じような計算ですが、前払について説明しましょう。

前回までと良く似た例を取り上げますが、今度は利息の支払方法が違うことに注意してください。元本が1,000,000円、利率が1%の借入金を10/1に借りたときのことを考えてみましょう。借入では一般的ですが、利息を先払いさせられることがあります。つまり借り入れた段階で1,000,000円X1%=10,000円の利息を先に支払わなければなりません(実際には、借りる1,000,000円から利息分を差し引かれて、990,000円を現金で受け取るのが一般的です)。決算も同じように12/31だとすると、決算の時の仕訳はどうなるでしょうか。

10/1には既に利息を支払っていますが、12/31時点では丸々1年分の利息を支払ったことになってしまうかというと、実は翌年の9月30日の満期まで借入をして始めて負担しなければならないはずのものです。つまり、12/31までは、3ヶ月分しか借りていないので、本来は1,000,000X1%X3ヶ月÷12ヶ月=2,500円分しか利息を支払う義務はなかったことになります。そこで、

(借方) 支払利息 2,500 (貸方) 現金 10,000

???? 7,500

という仕訳がなりたちます。既に支払った10,000円のうち、2,500円は元々支払う義務のあった利息と考えて良いのですが、残り7,500円は満期まで借りなければ本来利息としては支払わなくても良いところ、とにかく前払で現金で支払ってしまったことを表しています。このとき「前払利息」(まえばらいりそく)という勘定科目を使います。これは、決算時点では既に現金などで支払ってしまっているが(前払の)利息があり、実際に利息として考えられるのは翌期以降満期が来るまで、ということを表しています。したがって仕訳を書き直すと次のようになります。

(借方) 支払利息 2,500 (貸方) 現金 10,000

前払利息 7,500

翌年の計算方法は未収や未払いのときと同じで、満期がくれば支払利息として考えなければならないことになります。そこで、

(借方) 支払利息 7,500 (貸方) 前払利息 7,500

となり、次の決算期では、支払った現金は合わせて10,000円、支払った利息の合計も10,000円、さらに前の決算期で繰越してきた前払利息は借方・貸方合わせてチャラとなって0円で、特に矛盾がなく収まることになります。

次回は、未収・未払・前受・前払を整理して復習してみましょう。


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