はじめての簿記講座
-第29回−前受についてUpdated on 12/1/99
目次へもどる 前の回へもどる 次の回へすすむ
キーワード: |
利息を先に受け取ってしまったときは、「前受利息」(まえうけりそく)を使う 決算時点では既に現金などで受け取ってしまっているが(前受の)利息があり、実際に利息として考えられるのは翌期以降満期が来るまで、ということ |
前回までは、利息の未収と未払について説明しました。今回は同じような計算ですが、前受について説明しましょう。
前回までと良く似た例を取り上げますが、今度は利息の受取方法が違うことに注意してください。元本が
1,000,000円、利率が1%の預金を10/1に預け入れたときのことを考えてみましょう。あまり現実的ではないのですが、非常によい預金で、なんと利子を先に支払ってくれる預金だったとしましょう。つまり預けた段階で1,000,000円X1%=10,000円の利息を先に現金でもらえるのです。決算も同じように12/31だとすると、決算の時の仕訳はどうなるでしょうか。10/1
には既に利息をもらっていますが、それは12/31までの9ヶ月間で丸々もらえるものかというと、翌年の9月30日に満期を迎えるまで預金をおいておかなければ受け取れないはずのものです。つまり、12/31までは、3ヶ月分しか預けていないので、本来は1,000,000X1%X3ヶ月÷12ヶ月=2,500円分しか受け取ってはいけなかったことになります。そこで、(借方) 現金
10,000 (貸方) 受取利息 2,500(貸方) ???? 7,500
という仕訳がなりたちます。既に受け取った
10,000円のうち、2,500円はもう利息としてもらえるものと考えて良いのですが、残り7,500円は満期までは利息としては受け取れないが、とにかく前受で現金でもらってしまったことを表しています。このとき「前受利息」(まえうけりそく)という勘定科目を使います。これは、決算時点では既に現金などで受け取ってしまっているが(前受の)利息があり、実際に利息として考えられるのは翌期以降満期が来るまで、ということを表しています。したがって仕訳を書き直すと次のようになります。(借方) 現金
10,000 (貸方) 受取利息 2,500(貸方) 前受利息 7,500
翌年の計算方法は、未収や未払いのときと同じで、満期がくれば受取利息として考えて良いことになります。そこで、
(借方) 前受利息
7,500 (貸方) 受取利息 7,500となり、次の決算期では、手元の現金は合わせて
10,000円、受け取った利息の合計も10,000円、さらに前の決算期で繰越してきた前受利息は借方・貸方合わせてチャラとなって0円で、特に矛盾がなく収まることになります。次回は、前払について説明しましょう。