はじめての簿記講座-第28回−利息の計算期間と決算(復習)
Updated on 11/30/99
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決算時点では支払っていない(未払の)利息があり、いずれ支払う義務があるとき、「未払利息」(みはらいりそく)を使う 計算期間がずれただけであって満期の期間に違いがなければ、利息も変わりがない |
前回は、利息の計算期間と決算の関係について説明しました。今回は同じ内容を借入金を使って復習してみましょう。
前回と良く似た取り上げます。今度は計算期間も3ヶ月ずらしてみましょう。元本が1,000,000円、利率が1%の借入金を10/1に借り入れたときのことを考えてみましょう。1年間の借入金であれば、翌年の9月30日に満期を迎えて、1%の利息とともに返済しなければなりません。12/31が決算だとすると、決算の時に計算すべき利息の金額は、1,000,000X1%X3ヶ月÷12ヶ月=2,500円となります。12/31時点ではまだ利息は支払っていません。
(借方) 支払利息 2,500 (貸方) ?? 2,500
前回と同様、決算のためには貸方の勘定科目が必要です。このとき
「未払利息」(みはらいりそく)という勘定科目を使います。これは、決算時点では支払っていない(未払の)利息があり、いずれ支払う義務があることを表しています。したがって仕訳を書き直すと次のようになります。(借方) 支払利息 2,500 (貸方) 未払利息 2,500
翌年の計算方法を見てみましょう。満期のときの仕訳は前に説明したとおり、次のようになります。
(借方) 支払利息 10,000 (貸方) 現金 10,000
このままですと、12/31に仕訳した支払利息2,500円と合わせて、支払利息の合計は12,500円になってしまい、おかしなことになります。本当は借り入れていた期間を通して合計10,000円でなければならないはずです。
次の決算期に限ってみれば、実際に満期に受け取った利息10,000円のうち、次の決算期に限った利息は1/1から満期の9/30までの9ヶ月分の利息(10,000X9ヶ月÷12か月=7,500円)だけということになります。そこで満期の時の本来の仕訳は、
(借方) 支払利息 7,500 (貸方) 現金 7,500
でなければなりません。でも、満期には現金10,000円を利息として支払わなければならないので、このままではまだおかしなことになりますね。そこで未払利息の登場です。
満期に支払った現金10,000円のうち、7,500円は次の決算期で支払ったものですが、残り2,500円は前の決算期で「仮に」仕訳していたものが次の決算期に繰越してきたものと考えればつじつまが合います。前の決算で2,500円分は
本来支払うべきものとして「未払利息」として先取り計算してしまったが、次の決算になってようやく実際に支払うことになった、と考えても良いでしょう。そこで仕訳は、(借方) 未払利息 2,500 (貸方) 現金 2,500
(借方) 支払利息 7,500 (貸方) 現金 7,500
となり、次の決算期の利息は9ヶ月分の7,500円、手元から支払った現金は合わせて10,000円、さらに前の決算期で繰越してきた未払利息は借方・貸方合わせてチャラとなって0円で、特に矛盾がなく収まることになります。
今の一連の流れを図にして見ましょう。
前の決算では、その決算期で支払わなければならない(実際に現金では支払っていないが、少なくとも解約すれば支払わなければならいはずの)利息3ヶ月分を2,500円として計算しました。その代わり現金では支払っていないので、「未払利息」として仕訳します。
次の決算では、同じくその決算期で支払った7,500円を支払利息として計算しました。その代わり現金10,000円を満期に支払わなければなりません。支払利息7,500円として計算した分と、前の決算で仮に計算した「未払利息」を現金で実際に支払った分2,500円を合わせた10,000円です。
このように決算をまたいで利息を計算するときは、それぞれの決算で幾ら支払う「べきであるか」を考えて、すなわち、
それぞれの決算に利息が幾ら属するか、を仕訳します。これを「利息の期間帰属」(きかんきぞく)というのでした。「期間帰属」は決算と借入金の満期との違いから生じる単なる計算テクニックであって、2つの決算期を通してみれば、結局支払った利息は2,500+7,500=10,000円で変わりがないことを上の図からも確認してください。また、前回の例から見ても、単に計算期間が3ヶ月ずれただけであって満期の期間が1年間で違いがなければ、結局支払った利息はやはり2,500+7,500=10,000円で変わりがないことにも注目してください。次回は、未収・未払に対して前受、前払について説明しましょう。