はじめての簿記講座-27回−利息の計算期間と決算

Updated on 11/29/99

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利息の計算期間が決算をまたぐとき、それぞれの決算に利息が幾ら属するかを計算することを「利息の期間帰属」(きかんきぞく)という

またいだ決算期を通してみれば、結局受け取った利息は満期に受け取る金額と変わりがない

決算で仕訳した「未収利息」は、前の決算で先取りしてしまったが、次の決算になってようやく現金として回収したと考える

前回は、利息の計算をする期間について説明しました。今回は、利息の計算期間と決算の関係について説明しましょう。

前回と同じ例を取り上げます。元本が1,000,000円、利率が1%の普通預金を7/1に預けたときのことを考えてみましょう。1年間の預金であれば、翌年の630日に満期を迎えて、1%の利息とともに受け取ることができます。12/31が決算だとすると、決算の時の仕訳は

(借方) 未収利息 5,000 (貸方) 受取利息 5,000

翌年の計算方法を見てみましょう。満期のときの仕訳は前に説明したとおり、次のようになります。

(借方) 現金 10,000 (貸方) 受取利息 10,000

このままですと、12/31に仕訳した受取利息5,000円と合わせて、受取利息の合計は15,000円になってしまい、おかしなことになります。本当は預金の預け入れていた期間を通して合計10,000円でなければならないはずです。

なぜこのようなことになってしまうかというと、決算の時の仕訳は7/1から12/31までの利息を計算しているのに対して、満期の仕訳は7/1から翌6/30までの利息を計算しており、合わせてしまうと7/1から12/31までの利息を二重にカウントしてしまうことになるからです。

決算を迎えた後は次の決算期がやってきます。次の決算期に限ってみれば、実際に満期に受け取った利息10,000円のうち、次の決算期に限った儲けは1/1から満期の6/30までの半年分の利息(10,0006ヶ月÷12か月=5,000円)だけということになります。そこで満期の時の本来の仕訳は、

(借方) 現金 5,000 (貸方) 受取利息 5,000

でなければなりません。でも、手元には満期の利息として現金10,000円を受け取っているので、このままではまだおかしなことになりますね。そこで未収利息の登場です。

手元の現金10,000円のうち、5,000円は次の決算期で受け取るべきものですが、残り5,000円は前の決算期で「仮に」仕訳していたものが次の決算期に繰越してきたものと考えればつじつまが合います。前の決算で5,000円分は「未収利息」として先取りしてしまったが、次の決算になってようやく現金として回収できた、と考えても良いでしょう。そこで仕訳は、

(借方) 現金 5,000 (貸方) 受取利息 5,000

(借方) 現金 5,000 (貸方) 未収利息 5,000

となり、次の決算期の利息も半年分の5,000円、手元の現金は合わせて10,000円、さらに前の決算期で繰越してきた未収利息は借方・貸方合わせてチャラとなって0円で、特に矛盾がなく収まることになります。

今の一連の流れを図にして見ましょう。

前の決算では、その決算期で受け取れる(実際に現金では受け取っていないが少なくとも解約すれば受け取れるはずの)利息半年分を5,000円として計算しました。その代わり現金では受け取っていないので、「未収利息」として仕訳します。

次の決算では、同じくその決算期で受け取った5,000円を受取利息として計算しました。その代わり手元には現金が10,000円入ってきます。受取利息5,000円として入ってきた分と、前の決算で仮に計算した「未収利息」を現金で実際に受け取った分5,000円を合わせた10,000円です。

このように決算をまたいで利息を計算するときは、それぞれの決算で幾ら受け取れる「はずであるか」を考えて、すなわち、それぞれの決算に利息が幾ら属するか、を仕訳します。これを「利息の期間帰属」(きかんきぞく)といいます。「期間帰属」は決算と預金の満期との違いから生じる単なる計算テクニックであって、2つの決算期を通してみれば、結局受け取った利息は5,0005,00010,000円で変わりがないことを上の図からも確認してください。

次回は、借入金と利息の支払を使って、この流れをもう一度復習して見ましょう。


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