はじめての簿記講座-第20回−商品の流れ(その5-後入先出法)

Updated on 11/22/99

目次へもどる 前の回へもどる  次の回へすすむ

---

 

キーワード:

後に仕入れた商品が先に売れる(出ていく)商品の流れを「後入先出法」(あといれさきだしほう
今日の在庫は何で構成されているか、最も古い仕入から遡る
 

はじめに、11/17/99付でご紹介した内容に一部誤りがありました。上のキーワードの部分で、完全に先入先出法のキーワードをそのまま掲載しておりました。誠に申し訳ありません。新しく、後入先出法のキーワードのご紹介をしてありますのでご覧ください。

前回は、先に仕入れた商品から先に売れていく仕組み、先入先出法についてご紹介しました。今回は、反対の流れについて説明しましょう。

前回の八百屋さんの例を再び考えます。ニンジンはなま物ですから、反対にできるだけ新しいものからお客さんに買ってもらうことで、常にフレッシュな八百屋を強くアピールすることができるかもしれません。そこで、今日仕入れた分のカゴを手前においてお客さんには「本日仕入れ」を強くアピールし、そのカゴが売れてしまったら、繰越し分を奥から出してきて追加すれば、新しいものから順に売れていくことになります。これもやはり良く見かける光景で、スーパーの精肉・鮮魚コーナーで、新しくパックしたものから順に売れていくのとちょうど同じです。このような、後に仕入れた商品が先に売れる(出ていく)商品の流れを「後入先出法」(あといれさきだしほう)と言います。

前回と同じ八百屋さんの例を考えてみましょう。
昨日からのニンジンの繰越しは、35本(単価20円、仕入れ値700円)でした。
今日は、ニンジンを15本仕入れ、単価は30円、仕入れ値は450円でした。
今日はニンジンが全部で30本売れ、したがって残りは20本です。さて、後入先出法で計算すると、今日の売上原価は幾らで、今日店を閉めたときの残りのニンジンは幾ら分だったと考えればよいでしょうか。

これを勘定の形で書くと次のようになります。

入り

 

 

 

 

 

 

摘要

金額

単価

 

金額

単価

繰越

35

700

20

売上

30

仕入

15

450

30

在庫

20

50

1,150

 

 

 

 

 

 

さて、後入先出法では、新しいものから先に出ていきますから、今日の売上分30本は、まず今日の仕入れ(単価30円のニンジン)から売っていったと考えます。今日の仕入れは15本ありましたので、今日の売上30本は今日の仕入れ15本と、昨日の繰越し15本で賄われたことになります(今日の売上30本>今日の仕入れ15本)。
したがって、今日の在庫20本は、全て昨日からの繰越し15本で構成されていることになります。
もちろん、反対に考えてもよいでしょう。つまり、
今日の在庫20本は何で構成されているか、最も古い仕入から遡ると、昨日の繰越し分が35本あるので、ここから今日の在庫分20本が残り、あとの新しいほうの仕入れは全部売れた、と考えられるわけです。今日の在庫の金額を把握するだけなら、この方が早いですね。 

さて、表をもう一度後入先出法に従って書き直して見ましょう。
 

入り

 

 

 

 

 

 

摘要

金額

単価

 

金額

単価

繰越

35

700

20

売上(今日の仕入分)

15

450

30

仕入

15

450

30

売上(昨日の繰越しからの分)

15

300

20

 

 

 

 

在庫(全て昨日の繰越し)

20

400

20

50

1,150

 

 

50

1,150

 

 

上の表からも、売上原価は450+300=750円、在庫の金額は400円となることが分かります。この金額は、総平均法や先入先出法で計算したときの金額とは異なりますが、その合計はやはり1,150円で変わりがないことに注意してください。
ところで、先入先出法と後入先出法について紹介しましたが、後入後出法(あといれあとだしほう)というものはないので注意してください。何故だか分かりますか?
後入後出=後から入ったものが後から出る=先に入ったものは先に出る=つまり先入先出 だからです。
次回は、さらに別の計算方法について説明しましょう。 

---
目次へもどる 前の回へもどる  次の回へすすむ