はじめての簿記講座


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19回−商品の流れ(その4-先入先出法)

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先に仕入れた商品が先に売れる(出ていく)仕組みを「先入先出法」(さきいれさきだしほう)という
今日の在庫は、反対に後から仕入れた方から遡る

前回は、繰越分と仕入分とが全部均等に売れ、均等に売れ残ったとみなす総平均法についてご紹介しました。今回は、別の商品の流れについて説明しましょう。

前回の八百屋さんの例を再び考えます。ニンジンはなま物ですから、古いものは出来るだけ早く売り切ってしまいたいと思うのが人情です。そこで、繰越し分のカゴを手前においてお客さんにはできるだけ早く買ってもらうようにし、そのカゴが売れてしまったら、今日の仕入分を奥から出してきて追加すれば、古いものから順に売れていくことになります。これは良く見かける光景で、コンビニエンスストアのドリンクの冷蔵庫がちょうどこういう仕組みになっていますね。皆さんがドリンクをコンビニエンスストアで買うとき、冷蔵庫から取り出すと自動的に奥のものが手前に滑り出してきます。店員さんは仕入れた商品を冷蔵庫の奥から補充しています。このようにすることで、先に仕入れた商品が先に売れる(出ていく)仕組みになっています。このような商品の流れを「先入先出法」(さきいれさきだしほう)と言います。

前回と同じ八百屋さんの例を考えてみましょう。
昨日からのニンジンの繰越しは、35本(単価20円、仕入れ値700円)でした。
今日は、ニンジンを15本仕入れ、単価は30円、仕入れ値は450円でした。
今日はニンジンが全部で30本売れ、したがって残りは20本です。さて、先入先出法で計算すると、今日の売上原価は幾らで、今日店を閉めたときの残りのニンジンは幾ら分だったと考えればよいでしょうか。

これを勘定の形で書くと次のようになります。
 

入り

 

 

 

 

 

 

摘要

金額

単価

 

金額

単価

繰越

35

700

20

売上

30

仕入

15

450

30

在庫

20

50

1,150

 

 

 

 

 

さて、先入先出法では、古いものから先に出ていきますから、今日の売上分30本は、まず昨日からの繰越し(単価20円のニンジン)から売っていったと考えます。昨日の繰越しは35本ありましたので、今日の売上30本は全て昨日の繰越しで賄われたことになります(今日の売上30本<昨日の繰越し35本)。
したがって、今日の在庫20本は、昨日からの繰越しのうち今日の売れ残り35本−30本=5本と、今日の仕入れ分15本で構成されていることになります。
もちろん、反対に考えてもよいでしょう。つまり、
今日の在庫20本は何で構成されているか、後から仕入れた方から遡ると、今日仕入れた分が15本、これでも足りない5本分は昨日の仕入れ分、と考えられるわけです。今日の在庫の金額を把握するだけなら、この方が早いですね。

さて、表をもう一度先入先出法に従って書き直して見ましょう。

入り

 

 

 

 

 

 

摘要

金額

単価

 

金額

単価

繰越

35

700

20

売上

30

600

20

仕入

15

450

30

在庫(昨日の分)

5

100

20

 

 

 

 

在庫(今日の分)

15

450

30

50

1,150

 

 

50

1,150

 

上の表からも、売上原価は600円、在庫の金額は100+450=550円となることが分かります。この金額は、総平均法で計算したときの金額(売上原価690円、在庫460円)とは異なりますが、その合計は1,150円で変わりがないことに注意してください。
次回は、さらに別の計算方法について説明しましょう。

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