はじめての簿記講座 

Updated on 11/09/99

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15回−手形関係の取引

キーワード:

手形を使って掛け代金を支払い、あるいは回収するときも現金を中心に考える

「いついつまでの期日に幾らを支払います」と約束するのを約束手形(やくそくてがた)という

ある相手への買掛金を別の売掛金でチャラにする約束を為替手形(かわせてがた)という

前回は銀行関係の仕訳をご紹介しました。今回は、手形関係の取引をもう少し掘り下げてみましょう。その場合も基本となるのは、現金です。

前回は、直接手形を使って売り上げたり仕入れたりする方法を紹介しましたが、実際の会社では、いったん掛けで商品を仕入れまたは売り上げた後(つまり、買掛金で仕入れたり、売掛金で売ったりする)、手形を使って掛け代金を支払い、あるいは回収するのが一般的です。

そこでまず、買掛金を手形を使って支払ってみましょう。ここでもまずは基本に現金の場合を考えてみてください。たとえばまず、買掛金のうち、10,000円を現金で支払うとすれば、次のように仕訳するのですね。

(借方)    買掛金    10,000     (貸方)    現金       10,000

ここで、現金の代わりに手形を使って支払うので、代わりに「支払手形」とすればよいわけです。

(借方)    買掛金    10,000     (貸方)    支払手形              10,000

となります。あとで、この手形が期日になり、銀行口座から自動的に引き落とされてしまう場合は、

(借方)    支払手形              10,000     (貸方)    当座預金              10,000

逆に、手形を受け取ったときはどうなるでしょうか。これも、現金で売掛金を回収する代わりに手形をもらうわけなので、

(借方)    受取手形              12,000     (貸方)    売掛金    12,000

となります。あとで、この手形が期日になり、銀行口座に入金された場合は、

(借方)    当座預金              12,000     (貸方)    受取手形              12,000

さて、手形には「約束手形」(やくそくてがた)と「為替手形」(かわせてがた)の2種類があります。約束手形は、「いついつまでの期日に幾らを支払います」と約束したもので、ここまで見てきた手形は約束手形にあたります。これに対して、「為替手形」というのは、もう一人、「指図人」(さしずにん)というのが出てきます。

あなたが、Aさんから10,000円借りている一方で、実はBさんには10,000円貸している状態を想像してみてください。

Aさん ---> あなた ----> Bさん

Aさんがお金を返してほしいと言ってきた時、手っ取り早く「Bさんに10,000円貸しているからBさんから10,000円受け取ってくれればチャラになる」という方法があります。これが為替手形です。

AさんをA商店、Aさんから借りたお金をA商店からの買掛金、BさんをB商店、Bさんへ貸しているお金をB商店への売掛金、と置き換えてみましょう。

A商店へ買掛金10,000円を支払わなければならないとき、「B商店の売掛金10,000円とチャラにしてほしい」という、これが為替手形です。仕訳で示すとどうなるでしょうか。

(借方)    買掛金    10,000     (貸方)    売掛金    10,000

ここでも現金を基本に考えてみましょう。本来、買掛金を現金で支払うなら、貸方に現金が来ますが、現金で支払う代わりに売掛金でチャラにしてもらったので、現金の代わりに売掛金を貸方に書きます。反対の見方として、本来は売掛金を現金で受け取るなら、借方に現金が来ますが、現金で受け取る代わりに買掛金でチャラにした、というわけです。

もっとも、A商店が直接B商店のところへ代金を回収に行った時、B商店がしらばっくれてしまっては元も子もありません。そこで、受取人としてA商店の名前を書き、指図人、つまりこの取引をチャラにしたいと指図する人にあなたの名前を書き、最後に、B商店もそれでOK、つまり、あなたの代わりにA商店が代金を買い収支に来ても良いと承諾(引き受け)することを紙に証明します。これが為替手形です。

 

次回は、商品の流れについて説明しましょう。

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