Updated on 11/08/99
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どの仕訳でも現金を中心に考える
小切手は最終的に当座預金から支払われるものなので、「当座預金」を使う
小切手はいつでも銀行に持ち込めば換金できるものなので、受け取ったときは「現金」とする
手形を使って支払うときは、「支払手形」(しはらいてがた)、代金を受け取るときは、「受取手形」(うけとりてがた)
会社では、普通預金よりも当座預金(とうざよきん)を使うほうが一般的です。当座預金は、手形(てがた)や小切手(こぎって)を発行することができる代わり、利息はつかないようになっています。まず、小切手をご紹介しましょう。
小切手は、当座預金からお金を出すときに使うもので、小切手とよばれる横長の紙に金額を書いて相手に支払うと、あとは自動的に自動的に当座預金からその金額が差し引かれる仕組みになっています。ちょうどクレジットカードで買い物をするのと同じ感覚ですね。クレジットカードと違うのは、小切手を受け取った人が銀行へそれを持ち込めばすぐに、当座預金からその金額が差し引かれることです。
反対に、あなたが小切手を受け取ることもできます。小切手を受け取ったら、それを銀行にもっていくと、現金に換えてくれます。当座預金口座があれば、そこへ預け入れることができます。簿記を本格的に勉強するときは、小切手と当座預金は不可欠になるので良く覚えておきましょう。
まず、小切手を使って何か買い物をしてみましょう。たとえば、仕入です。まず、現金で10,000円の商品を仕入れたら、次のように仕訳するのですね。
(借方) 仕入 10,000 (貸方) 現金 10,000
ここで、現金の代わりに小切手を使って支払うので、代わりに「小切手」とすればよいわけです。ただし、小切手は最終的に当座預金から支払われるものなので、ここでは、「当座預金」という勘定科目を使います。
逆に、小切手を受け取ったときはどうなるでしょうか。実は、小切手はいつでも銀行に持ち込めば換金できるものなので、これは受け取ったときは「現金」とすることになっています。したがって、商品12,000円を売り上げて、代金を小切手で受け取ったときは、
(借方) 現金 12,000 (貸方) 売上 12,000
となります。あとで、この小切手を銀行に持ち込み、当座預金へ預けた場合は、
(借方) 当座預金 12,000 (貸方) 現金 12,000
となります。もっとも、小切手で受け取り、すぐに当座預金へ預ける場合は、この現金を通すプロセスを省略して、
(借方) 当座預金 12,000 (貸方) 売上 12,000
とすることもあります。
次に、手形について説明してみましょう。手形も小切手と同じく、当座預金を使って支払ったり受け取ったりする手段ですが、小切手と違って期日があります。代金を手形を使って支払うときは、「何月何日に支払います」と記入します。その期日までは当座預金から代金が自動的に引き落とされてしまうようなことはないので、その間、資金を有効に使うことができます。反対に、代金を回収するのに手形を受け取ったときは、「何月何日に支払います」と書かれた日までは、実際に当座預金にお金が入ってきません。
さて、それでは、商品10,000円を手形を使って仕入れてみましょう。現金の仕訳をまず思い浮かべ、現金の代わりに手形で置き換えてください。ただし、手形を使って支払うときは、単に「手形」ではなく「支払手形」(しはらいてがた)という勘定科目を使います。
(借方) 仕入 10,000 (貸方) 支払手形 10,000
あとで、この手形の期日がやってきて、当座預金から代金が引き落とされるときは、
(借方) 支払手形 10,000 (貸方) 当座預金 10,000
となります。
今度は、商品12,000円を手形を使って代金を回収してみましょう。現金の仕訳をまず思い浮かべ、現金の代わりに手形で置き換えてください。ただし、手形を使って代金を受け取るときは、単に「手形」ではなく「受取手形」(うけとりてがた)という勘定科目を使います。
(借方) 受取手形 12,000 (貸方) 売上 12,000
あとで、この手形の期日がやってきて、当座預金へ代金が入金されるときは、
(借方) 当座預金 12,000 (貸方) 受取手形 12,000
となります。小切手と違い、当座預金にすぐに預け入れても期日がくるまでは資金になりませんから、いきなり最初の仕訳で借方を当座預金にすることはできません。これが小切手と違うところです。
次回は、手形関係の取引をもう少し掘り下げてみましょう。