Updated on 10/18/99
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月末の残高を全て集めたものを「残高試算表」(ざんだかしさんひょう)と呼ぶ
残高試算表は、月末時点の、支出や収入、現金などの明細表である
簿記では、借金の状態や支出の状況が一目で分かる
まず、全部の総勘定元帳を眺めて見ましょう。まず現金の総勘定元帳です。
10/1 |
前期繰越 |
10,000 |
10/1 |
食費 |
700 |
10/6 |
雑収入 |
20,000 |
10/2 |
食費 |
850 |
10/8 |
借入金 |
5,000 |
10/2 |
図書費 |
400 |
|
|
|
10/3 |
図書費 |
800 |
|
|
|
10/3 |
食費 |
2,000 |
|
|
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10/4 |
図書費 |
150 |
|
|
|
10/4 |
食費 |
350 |
|
|
|
10/7 |
食費 |
1,000 |
|
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10/31 |
残高 |
28,750 |
|
合計 |
35,000 |
|
合計 |
35,000 |
次に、食費の総勘定元帳です。
10/1 |
現金 |
700 |
10/31 |
残高 |
4,900 |
10/2 |
現金 |
850 |
|
|
|
10/3 |
現金 |
2,000 |
|
|
|
10/4 |
現金 |
350 |
|
|
|
10/7 |
現金 |
1,000 |
|
|
|
|
合計 |
4,900 |
|
合計 |
4,900 |
次は図書費の総勘定元帳です。
10/2 |
現金 |
400 |
10/31 |
残高 |
1,350 |
10/3 |
現金 |
800 |
|
|
|
10/4 |
現金 |
150 |
|
|
|
|
合計 |
1,350 |
|
合計 |
1,350 |
雑収入の総勘定元帳です。
10/31 |
残高 |
20,000 |
10/6 |
現金 |
20,000 |
|
合計 |
20,000 |
|
合計 |
20,000 |
最後に借入金です。
10/31 |
残高 |
5,000 |
10/8 |
現金 |
5,000 |
|
合計 |
5,000 |
|
合計 |
5,000 |
これで、全ての総勘定元帳が出揃いました。
良く見てみると、どの総勘定元帳にも最後に「残高」という勘定科目が記されているのが分かります。最後に「残高」をいれないと、勘定科目が締められないのと、借方・貸方が一致しないのですから当たり前なのですが、この「残高」の総勘定元帳を作ることは可能でしょうか。
10/1 |
現金 |
28,750 |
10/1 |
雑収入 |
20,000 |
10/6 |
食費 |
4,900 |
10/2 |
借入金 |
5,000 |
10/8 |
図書費 |
1,350 |
10/2 |
(前期繰越) |
10,000 |
|
合計 |
35,000 |
|
合計 |
35,000 |
現金の前期繰越の分を入れないと借方・貸方が合わないので入れておきますが、これについてはまた改めて説明します。
さて、このように各勘定科目の残高を集めてみると、これが月末時点の、支出や収入、現金などの明細表であることが分かります。これを「残高試算表」(ざんだかしさんひょう)と呼びます。
さて、なぜ、簿記の世界ではわざわざ面倒な思いをして全ての総勘定元帳を作成し、残高試算表まで作らなければならないのでしょう?さらに、総勘定元帳と残高試算表を作らないと、それぞれの勘定科目の残高がわからないというのも不便です。
ふつう、おこづかい帳をつけるときは、収入と支出の欄があり、前の日の残高に収入と支出を差引すればその日の残高がわかるようになっています。現金の出入りだけであれば、これで充分で、毎日の現金の残高が一目でわかり、大変便利です。
実は、ここに簿記の特徴があります。
おこづかい帳では、実は現金の出入りしか分からないため、月末に現金28,750円が残高として残っても、それが全額自分の手元に残ってよいものかどうかが分からないのです。残高試算表を見てみると、現金28,750円はあるものの、おこづかいとして増えたのは20,000円(雑収入)だけであって、5,000円は友達から借りたので後で返さなければならないことが一目でわかります。おこづかい帳では、これを一括して把握することができません。
このように、簿記の世界では、現金の出入りだけでなく、借金の状態や支出の状況が一目で分かるようになっています。
次回以降は、より簿記らしい、もっと沢山の種類の取引をご紹介しましょう。