ギアナ紀行 忘れられた地上の楽園編 Guiana travelogue- lost Paradise

 ウルジェン村には最初の一日だけ泊まる予定だったが、予定は未定となり2日ほど余計に不法滞在することになった(後日滞在費は清算したが、水、電気がなかったので値切った)。 しかし自分はウルジェン村がとても気に入った、10月頃から風邪をこじらせて咳が止まらなかったのが この村に滞在してピタリと止まった ここは自分にとってのラストリゾートなのかもしれない。この村のオーナーは自然保護に理解があり なるべく自然を手付かずのままにするよう村に共同管理を任せていると言うようなことをを聞いたことがある。 村には電話、テレビ、インターネットなどの通信機能はなく、水や電気もどうしても必要な時だけ発電機を動かして供給する。 それでもこの村にいると時間の流れがゆったりして居心地が良いのはどうしてだろう。 ギアナ高地は天空のロストワールド(失われた世界)と言われるが、自分は勝手にウルジェン村をロストパラダイス(忘れられた地上の楽園)と命名した。

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Uruyen village ウルジェン村の夜明け
α55 2011:12:24 18:53

まんじりともせず一夜を明かす。 アウヤンテプイの朝焼けが見れるかなと思い外に出る。
ウルジェン村 Auyan Tepui at dawn., Uruyen village アウヤンテプイの夜明け
α55 2011:12:24 18:54

今日のアウヤンテプイは雲がなく朝焼けが見れそうだ。
ウルジェン村 Auyan Tepui at dawn アウヤンテプイの夜明け
α55 2011:12:24 18:57

日が昇れば右側から焼けるはずだ。
アウヤンテプイ Auyantepui at red glow at sunrise アウヤンテプイ砦の朝焼け
α55 2011:12:24 19:21

ようやく太陽が直接アウヤンテプイに当たった。
アウヤンテプイ Auyan Tepui at red glow at sunrise アウヤンテプイ砦の朝焼け
α55 2011:12:24 19:23


A ferry to the next door village
隣村への渡し
PX 2011:12:24 20:27

朝早くO君と前日の一世一代の演技をした場所まで行って見ることにする。確かに川向こうに小さな民家が見えるが ここからだと大声を上げても届くかどうか微妙である。 Eお母さんが出てきたのは運が良かったとしか言いようがない。ガイドのJ氏を運んだ車はまだ村に戻ってきていないが、夕べこの川をどうやって渡ったのだろうか。
Uryen village view from the other side of river 川に入ってウルジェン村を望む
PX 011:12:24 21:06

村に戻ってO君の防水デジカメを借りて川に膝まで浸かり反対岸まで行ってみる。 朝食だと言うのであわてて深い所を渡ってしまい足を滑らせ ずぶ濡れになる。 幸いカメラは防水だったがポケットに入れてあったスマホが水浸しになり液晶が真っ白になり断末魔のサウンドとともに御臨終した。 それでも諦め切れず部屋の外の日陰に置いておくことにした。
A road to Uryen village  ウルジェン村を望む。ポーターたちが左のウルジェン村飛行場待合室にこの道のりを歩いて来た
PX 2011:12:24 20:10
 
食事をしていると 一人二人とポーターのような人が重い荷物を背負って隣村の方から村の飛行場待合室に集結してきた。 今年は我々が山行きの最後だと聞いていたが他にも行く人達がいるのかと思っていたら、 3人のポーターの内の最年少と思われる男が 自分は昨夜遅くガイドのJ氏から我々のガイドをするよう頼まれたSだと言う。今日は山行きはないだろうと思っていたのでびっくりしたが、それ以上にポーターの人数に驚愕した。 我々は追加で自分達の荷物を運ぶポーターを2人雇ったのだが当然他にも数人テントなど運ぶポーターがいるものと思っていたのだがガイド含めて3人で全て運ぶという、地球の裏側でもコストカットの嵐。 
Triumph return ガイドのJ氏と突撃パイロットと一緒に凱旋ポーズ
CX5 2011:12:25 01:42

新しいガイドのS氏には 荷物が戻っていないので山行きは無理だと話し近くでシュラフなど手に入るかなど話していた。
そのうちお昼ごろセスナが到着した。 なんとガイドのJ氏が我々の荷物を突撃パイロットと探して運んで来てくれたのだ。半分諦めていたので思わず歓喜の声を上げる。三脚がないようだがそのぐらいはしょうがないと諦める。彼らは直ぐカナイマに飛び立ったが、代役のガイドのS氏は直ぐ山行きに出かけなければと言う。O君は昼食も食べていないし一番の酷暑の時間帯(34度ぐらになる)に出るのを心配していた。 部屋に戻るとなんと臨終したはずのギャラクシーSが生き返っているではないか。

写真はO君提供。
The first wall グランサバナを抜け丘陵地帯に入る
α55 2011:12:25 03:27

急遽荷物を整理し山行きの用意をする。自分の荷物は3キロぐらいにしようと思っていたのだがポーターの少なさから自分のリュックに詰め込むものが多くなり結局5キロ以上になってしまった。午後一時頃出発する。
A heavy burden 虹の川(?)を越えたあたりで休息。ポーターA氏の荷物
α55 2011:12:25 03:27

ポーターの労力には本当に脱帽する。自分は暑さと睡眠不足でヘロヘロだと言うのに、自分のカメラザック(15キロ以上はある)になべ釜など他のものを加えるとゆうに30キロはある荷物を担いで長靴でこの酷暑の山道を歩くのだから敬服してしまう。
The first wall 丘陵地帯より第一の壁を望む
α55 2011:12:25 03:28

この第一の壁を越えた所にあるキャンプ グアヤラカ(Campo Guayaraca) が一日目のテント泊の予定だがもう午後2時過ぎである。暗くなる前に到着するのは無理のような気がする。 当初の予定では早朝出発することになっていた。さらに我々の日程表では3日で登ることになっていたが 普通は4日かけて登るらしい。 エンジェルフォールにも行くため タイトなスケジュールが組まれているようだ。
Auyan Tepui  丘陵地帯よりアウヤンテプイを望む
α55 2011:12:25 04:01

グランサバナを抜け丘陵地帯に入ってきたが どんどん アウヤンテプイから離れていくような気もするが、かなり遠回りでもこのルートがロッククライミング以外ではアウヤンテプイに登る通常のルートである。
Taking a short break 木陰で休むポーターのM氏
α55 2011:12:25 04:15

自分のカメラザックを持ってもらったポーターのM氏。 屈強な体だがさすがに重そうで休んだ後起き上がるのに苦労していた。
Auyan Tepui still far from here 丘陵地帯から望むアウヤンテプイ
α55 2011:12:25 04:15


坂が急になってきて僕が苦しそうにしていると突然O君が今日は引き返そうと言い出した。このディシジョンはちょっと意外であった、第一の壁の前で野営するか明日早朝再出発するのが妥当だろうと思っていたが ヘリコプターで頂上に行こうと言う。 このままだと頂上に登ってもすぐ下山しなければならず 写真をメインに考えるとヘリコプターの方が楽なので即賛成した。ガイドのS氏とヘリコプターの手配について話し、S氏がインターネットが出来るカマラタまで戻ってヘリコプターの手配を確認することになった。 
Overlook uryen village 歩いてきたグランサバナの向こうにウルジェン村方面を望む
α55 2011:12:25 04:39

今から戻ると夕暮れ前には村に戻れそうだ。 部屋に入れるかが問題だが何とかなるだろうと根拠もなしに思った。
A view from inside of our lodge 部屋の中から雨音製造木を眺める
α55 2011:12:25 20:13

午後5時過ぎ村に戻ると村の人は誰も居なかったが我々が泊まっていた部屋の扉の鍵が開いており 残していた荷物もそのままあった。この辺りでは盗難という概念がないのだろう。 ということで我々はヘリコプターの手配が付くまでここに不法滞在することになった。 ポーター達は飛行場待合室に泊まるようだ。 彼らはハンモックが掛けられる所であればどこでも寝れるのだ。
ガイドがいないので今日は夕食はヘッドランプを点けて一個のカロリーメイトを分け合って食べる。
部屋から見える旅人の木のような木はまったく人騒がせな木で風が吹くと雨の音に聞こえて外に物を干している時など何度も騙されて外に飛び出した。映画などでザルに小豆で雨の擬音効果を出すことがあるが この木に扇風機でも当てたほうがよっぽどそれらしい。
ウルジェン村 A rainbow in Uruyen village ウルジェン村に架かる虹
α55 2011:12:25 21:39

翌朝O君が虹が出ていると言うので外に出ると 村の側を流れるウルジェン川に虹が架かっていた。
ウルジェン村 A rainbow in Uryen village
ウルジェン村に架かる虹
α55 2011:12:25 21:41

雨が多いせいかギアナ高地では良く虹が見られると言う。 うまくすれば虹の中を歩くことも夢ではない。エンジェルフォールの滝つぼに架かる虹の写真が撮れたら最高なのだが。
ウルジェン村 A rainbow in Uryen village  ウルジェン村に架かる虹
α55 2011:12:25 21:42

よく見ると虹がアーチ状になり 片方はグランサバナの方に降りている。
A hawk? 大空を舞うとんび(?)
EOS 5D 2011:12:26 00:03

この鷹のようなとんびのような結構大きな鳥が上空を舞っているのが良く見られた。この他キングフィッシャー(カワセミ)も川の側で見かけた。餌取り場を大体見当つけてカメラで狙おうとしたが現れなかった。そのほか金剛インコやオオハシの仲間もいるようだ。
ウルジェン村 A view from Uryen river side 川べりからウルジェン村を望む
EOS 5D 2011:12:26 00:04

村の水は飲み水も、シャワー、水洗トイレの水も全て川の水を発電機を動かし貯水槽にためて使う。今日は我々以外誰も居ないので貯水槽の水が空になったら、トイレの水はバケツで川の水を運んで流すことになる。夜はヘッドランプで過ごすことになりそうだ。
Uruyen river for washing 洗面、炊事場
EOS 5D 2011:12:26 00:04

貯水槽に水がない時は ここで歯磨き、洗顔等を行う。水の中を良く見ると小さな魚がうようよしている。 川の水はタンニンの影響で薄黄色をしているが味はそれほど悪くない。
A good washing day 洗濯干し
EOS 5D 2011:12:26 00:11

ポーターの人たちはとても清潔好きで 洗濯をこまめにする。 山でも休むときには長靴や靴下などを日光干ししているのを良く見かける。
Uruyen air port rounge 飛行場待合室とハンモック
EOS 5D 2011:12:26 00:17

ポーターの人たちも手持ちぶたさでハンモックでごろごろしている、明日もしガイドのS氏が朝戻ってこなければカマラタまでポーターに行ってもらおうと掛け合う。
ウルジェン村 Auyan Tepui and cottage in Uruyen village アウヤンテプイと村のコテージ
EOS 5D 2011:12:26 01:01

泊まっているコテージで不思議に思うことがある。 窓があるが網サッシだけでガラスの窓も雨戸もないので強い雨が降って来たとき部屋の中が水浸しにならないかということである。 自分なりに考えた結論は風は山側から来ることはなくグランサバナのほうから谷間を通り抜けるように吹くため 窓をそれと平行な面にだけ作り 風にもろにあたる部分は丸みを帯びた作りにしているため雨は入ってこないのだろうと言うことだ(確認していないが)。
A welcome guest 思わぬ珍客
EOS 5D 2011:12:26 01:24

お茶をしていると思わぬ珍客が現れた。
Unexpected guest  思わぬ珍客
EOS 5D 2011:12:26 01:24

ペットにでもしたくなるような鮮やかなグリーンの色をした綺麗なトカゲである。 
A welcome guest 怒れ
EOS 5D 2011:12:26 01:25

怒らせると喉の所が大きくなると言うので試すがその前に逃げてしまった。
Learning Spanish カフェラウンジにて(スペイン語を勉強するO君)
EOS 5D 2011:12:26 01:58

スペイン語がこれほど必要だとは全く考えてもいなかったが、O君はスペイン語の辞書を持参しベネズエラに来る前にも勉強していたらしい。 スペイン語は彼にお任せすることにした。 ただ先住民族(ぺモン族)の人たちの中にはスペイン語を読むのが苦手な人もいるようなので筆談は時には難しい。
ウルジェン村 Uruyen village view ウルジェン村全景
EOS 5D 2011:12:26 02:36

アウヤンテプイに見守られて今日のウルジェン村も のどかである。現在村民は我々を含め4名。O君とここが英語が通じて交通の便がもっと良ければマルガリータ島等と並ぶリゾート地になるのではないかなどと話す。
Uruyen village  ウルジェン村全景
EOS 5D 2011:12:26 02:37

ウルジェン村飛行場滑走路より望むアウヤンテプイ。
Our cottage 我々の泊まったコテージ
EOS 5D 2011:12:26 02:40

部屋ナンバー1. 鍵がないのだが外に出て閉めてしまうと入ることが出来なくなるので石を戸口にはさんで締め出されるのを防ぐことにした。
Pre-pre プリプリの痕(ちょっと見えずらいが)
EOS 5D 2011:12:26 02:45

手を見るとぽつぽつと赤い斑点がある。食中毒にでもなったかと思って心配していたら これはプリプリと言う小さなアブのようなものに噛まれた痕だと言う。最初は痛みも何もないが後で一寸かゆくなってくる。虫除けスプレーや蚊取り線香は殆んど効果なし。
Magic stick マカロニの昼食とおまじない棒
EOS 5D 2011:12:26 03:38

前日の昼から殆んど何も食べていないので O君がポーターにお願いして食事を作ってもらう。一般にこちらの食事の味は塩分が少なく 自分には味が物足りないが、日本人に高血圧が多いのもうなずける。コップのオレンジジュースは殆んど薄くて味がなく川のタンニン色を消すために色をつけているのではないかと疑いたくなるようなものだ。コップの中の白い棒は写友の松本アキラさんから餞別でいただいたもので高純度の銅線で出来た除菌棒て、銅の殺菌作用を応用したものだと言う。 我々はおまじない棒と言って川の水を飲む時は重宝したが、ポーター達は我々が白い棒をクルクル回すのを何をしているのだろうと訝っていたようだ。
Ant carrying leaf 葉切りアリ
EOS 5D 2011:12:26 04:04

地面を見ると葉っぱがノコノコ動いている。 葉切りアリが葉っぱを巣に運んでいるのだ。 この葉っぱはアリの食料になるキノコを育てるために巣に運んでいるそうだ。
Ant carrying leaf  葉切りアリの巣
CX5 2011:12:25 22:30

葉切りアリは主に中南米の熱帯雨林に住み、運んだ葉っぱでアリタケなどのキノコを栽培し自分たちの食料とする農耕生活を営むアリである。

写真はO君提供。
An ant's highway network
葉切りアリの高速道路網
EOS 5D 2011:12:26 06:49

葉切りアリは葉っぱを巣に運ぶ道を整備している。 何度も通るからこうなったのか分からないが縦横無尽にあたかも飛行機で上空から地上の道路網を眺めているかのようだ。
Twilight in Uruyen village 黄昏のウルジェン村飛行場待合室EOS 5D 2011:12:26 04:17

今日は平穏に終わりそうだが 明日からどうなることやら。ポーター達はハンモックでお休み。
An interesting cloud at twilight  黄昏のウルジェン村飛行場待合室
EOS 5D 2011:12:26 04:30

雲が面白いので強調。
  アウヤンテプイの夕景
EOS 5D 2011:12:26 06:23

そろそろ日が沈みそうだ。 
Sunset in Auyan Tepui  アウヤンテプイの夕景
EOS 5D 2011:12:26 06:32 

砦に夕日が当たり始めた。
Sunset in Auyan Tepui
アウヤンテプイの夕景
EOS 5D 2011:12:26 07:05

グランサバナの方に日が沈み始めるとアウヤンテプイが赤く染まり始める。

A night with glittering stars
ウルジェン村の星空
EOS 5D 2011:12:26 08:42

日が暮れると村のあちこちに蛍が飛び交い幻想的である。
日が完全に暮れると今度は星空がにぎやかになる。三脚がないので地面にカメラを置いて写すが露光時間が短く実際よりも地味になってしまった。 実際は月が出ていなかったせいもあるがダイヤモンドを散らばしたような星空が見える。北斗七星や銀河も見えた。
アウヤンテプイ Auyantepui with morning sun
アウヤンテプイの朝
EOS 5D 2011:12:26 19:37

今朝も天気が良い。ガイドのS氏は良い返事を持ってくるだろうか。
アウヤンテプイ Auyan Tepui with morning sun アウヤンテプイの砦に当たる朝日
EOS 5D 2011:12:26 19:38

ヘリコプターの手配が出来なければアウヤンテプイに再チャレンジするしかなさそうだ。



To be continued

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