「川崎市における緑地保全の課題と可能性」内海麻利氏「横浜国立大学講師)2002.5.25
  緑地保全とまちづくり手法〜市街化区域の緑地保全を考える〜


0.緑地消滅の要因

・昭和30年代から緑が減少。平地から斜面地へ。
・相続税対策による土地の売却。
・現行法では守りきれない市街化区域の緑地。開発が前提。周辺住民との軋轢。

1.法令による緑地保全制度

・川崎市は全て都市計画区域。
・市街化区域、10年以内に開発等で市街化。
・市街化調整区域、市街化を抑制すべき区域。川崎は散在状態。
 横浜のように固まっていないので、浸食されやすい。

@風致地区 風致の維持。規制で開発をコントロール。
      川崎では機能していない。緑地だけだと指定しにくい。京都、奈良。

A近郊緑地保全区域

B歴史風土保全区域 @〜Bは、特徴がないと保全しにくい。

C緑地保全地区 規制・保証措置。都市計画区域内の緑地の保全。

D開発許可制度 規制。3000ha以上の開発行為は3%の公園の提供。
        樹木・樹林の保全、表土の保存、緑地の設置。

E保存樹・保存樹林 規制+補償措置

☆ 補償措置、規制行為の組合わせ
   規制のみ:地権者、事業者への私権制限=硬直的な関係
   規制+補償措置:地権者及び財政により成立

・早期段階の柔軟な対応
・計画的な財源措置(買い取り等)の必要性
・住民の理解

・地区計画制度 ある一定の住民がルールを作って、担保していく
・総合設計制度 容積率緩和と空地の確保のバーター。
→横断的な対応が必要

・緑地協定制度 
・市民緑地制度 土地所有者と自治体または緑地管理機構が契約を締結。

・緑の基本計画 緑地の保全及び緑化の目標、推進

 30プラン、計画の実効性の欠如

2.先進自治体による緑地保全施策

・トラスト制度。みどりの基金。川崎にもある??

・市民の森制度、保全契約。樹林地の所有者と緑地保全契約を結ぶ。

・賃借・保全契約:条例や要項による賃借・保全契約による樹林地の保全

・重層的な施策展開の可能性。補ったりすることが大切。

・兵庫県「緑豊かな地域環境の形成に関する条例」
 「地域環境整備方針」に基づいて土地利用の誘導を図る。
 淡路地域、丹波地域。森を守る区域、森を活かす区域、さとの区域、まちの区域

 市民の意向の聞きながら、開発をコントロールしていく。
 集落は1ケ所にコンパクトにまとめる。

・神戸市。保存地区、保全区域、育成区域。
・真鶴市。開発行為等に対し規制誘導を行う施策、用途指定なし。
      ??どうやって策定。

・逗子市、環境影響評価書案を、公聴会等で意見を聞き、審査委員会で審議。
  みどりの条例だけでは守りきれない。運用は煩雑、住民の関与、財源、、
  地区地区でまちづくりに住民が係わらないと効力が発揮しない。
  規制の仕組みだけでなく、住民の参加をきちんとやっていかないといけない。

  ランク調査に何億円か、かかる。メッシュで指定。

・ゾーニングを示すカルテとその好評
・自治体独自の保全する基準があった
・開発手続きと連動した手続きが必要

3.川崎市の緑地保全施策の検討

3−1 緑地保全施策の現状と課題

 緑地保全に寄与する都市計画が、緑地保全と連携していない。
 トラスト、みどり基金、市民の森制度は、それなり。
 開発行為等の規制誘導はない。

 公園課と、緑政課も、バラバラ。

 横断的な検討、体系的検討が必要。

3−2 体系的かつ横断的な検討

・買い取り基金等をしっかり機能させること
・開発時、できるだけみどりを残してもらう制度
・ビジョンから、具体的な
・地区協定、緑化協定、、、市民発意で支えていく仕組み
・情報発信

・まちづくり局、緑政課、建築課、、、総合して連携して緑を守る必要性

3−3 検討結果に基づく4つの提案

・出来るだけ早い段階で、地権者と連携できるように。
・開発が起きた時に、カルテ、マスタープランに応じて、手続きがとれること
 協議。開発指導、建築指導、緑政課、、、窓口の一本化
・まち局と環境局の連携
・市民のまちづくりの仕組み

・目標像、緑地の評価、カルテの公開、基準、、、
・緑地の評価を示したカルテとその公表
・自治体独自の保全基準の設定

・目標像の管理(基本計画=都市マスタープラン)

今、動いている3つの施策

@緑地保全指針の見直し 緑地保全と公園を一体で考える
             保全が第一、回復、創出。今までは緑化のみ。

 ・カルテ、緑の実態調査、カルテ作成
 ・基準 カルテとゆるやかに連携、    審議会で検討中

A開発手続きの見直し 事前相談、届け出の段階で、緑政課でカルテ、基準による協議
           周辺住民への周知、意見招致、、検討
           指導、、、市長判断、、、、

B市民によるまちづくりの仕組み
 ・区づくり白書、、、マスタープラン、、、地区のルール作り、、


Q&A

・公共施設と、緑。どちらが大事か、市民に投げかけたか。

・私有地、、売る時に、市民に公開するか?
  公表することの可否、国土法、、、プライバシー
  市街化調整区域には公開を義務つけるか、、、、

・開発の原因、相続税、、、、対処は?
  国の税制に問題あり、、、、公平性 緑地が減ることを想定していなかった
  成熟化社会の論点の一つ。自治体で新しい税制が出来る可能性がある
  都市部への人口抑制を考えるべき、、、、年齢構成、、人の移動
  市レベルのマスタープランは、どこまで、、、出来るか
  ビジョンが出来ただけではダメで、、、、システムにつながっていかないといけない。
  今は過渡期の段階。国から県、市、区、、、
  都市再生法、、、丸の内、、、
・条例、、裁判ざた、、、、

・横浜と川崎。1970年代、線引き制度、、、
    横浜はしっかりとした計画があった。線が引きやすい。
    川崎は、点とした、、、計画しかならなかった、、

・ほとんどのトラブル、、住宅地のマンションが一番問題
  建てても良いけど、、こういう風に建てて下さい、、、は出来るが
  禁止は出来ない

・市街化調整区域、、、墓地になっていく、、、駐車場、、、資材置き場、、
           抜け穴がいろいろある

  何もない以前よりは、少し基準が出来ていくだろう。
  農地だから守っていく、、、林だから守っていく
   きめ細やかな計画を作って、手続きを多くして、ハードルを高くする

  神戸市、里づくり計画。農民の方々が作る。

・アセス通りに開発されたどうか、チェックするところがあるか?
  行政がやっているかな。形骸化されている、、、
  市民側が途中でも、チェック出来る仕組みが必要。
  要項、建築確認等は、、、、市はやっていない。


・斜面緑地のマンション化への歯止めは?
 位置付けて、高いパーセント、、、SAを作って、そこから買い取る
 風致地区をかけて規制をかけていく
 段差、、、何メートルまでしなさい。

・法律、、条例、、、市長責任、、、
 今後、、、事例が増えてくると、独自の条例が勝つ時代が来るかも

以上、文責:竹井。


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