「野鳥を通じた環境教育」

日時 2002年7月13日(土)10:15〜11:15
場所 井田病院1号棟2F・講堂
講師 石井一与さん(日本野鳥の会) 
                        

概要

1.身近な自然の意味

@環境のものさしとしての自然
A自然の仕組みを教えてくれる自然
B人を育てる自然
  ・しなやかな体
  ・研ぎ澄まされた五感
  ・旺盛な好奇心

自然の力、大きさを感じながら。

2.なぜ野鳥なのか?

(プラス面)
 ・鳥を見る目/広い視野
 ・いろいろな環境への関心
 ・鳥を通して自然界へのつながりが見える
     生態系の中での鳥の位置/鳥の存在が豊かな自然の指標になる
     鳥を守ること=生息環境の保全 食物連鎖
(マイナス面)
 ・直接手に触れられない 難しい面
 ・情緒的な活動に流れがち

3.自然観察の流れ

探索 → 発見 → 記録 → 表現 → 共有 → 新たな探索
            ・その場で  ・イラスト
            ・大切なこと ・写真集
                    ・データを貯めて発表する
                    ・羽を拾っておく
                    ・バードカービング
10年はすぐ経つ。楽しいもの。

4.野鳥観察のマナー

@鳥に対して 驚かせないこと
         静かにする
         派手な色の衣服は避ける。白は目立つ方。
         営巣期の写真は避けること。巣を捨てることにつながるので。

A自然環境に対して 「見たい気持ち」を押さえて、インパクトを与えない。
              往々にして、夢中になって、どこにでも入りがち。
              集団心理で、他の人がやっているから、、、になりがち。

B人に対して 土地の所有者に対しての配慮
         余所の家の裏庭に入ることなど、注意

5.最後に

・フィールドを持とう ←→土地への愛着
・身近なものが大切。見続けること。それが結局、早道。

・井田山の基本的な考えである、「子どもたちにつなげていく」ことが大切。

・ヒヨドリの渡りも、川崎を空の上から見て、数少ない緑として、井田山を見つけて、
 それで立ち寄っている。貴重な緑の場である。

・平成元年から川崎に住み、多摩川を見てきた。飽きない。
 ますます面白くなり、ナゾも増えてくる。


参考:「野鳥を通じた環境教育」より (前日本野鳥の会神奈川支部長
                       平塚博物館学芸員・浜口哲一氏)

***Q&A***

Q:家の庭に餌台を置くことについては?
A:自力で繁殖するのが野鳥。冬の餌が無い時期ぐらいは許されるかな。
  巣箱は、場所の提供の意味もあり、また、少し異なる考え。

Q:県の緑政部は「餌を与えないで。ドバトのフン害が起こる、生態系を乱すから」と
  アナウンスしているが。
A:等々力緑地にカワウがおりフンが目立っている。先日読んだ本には「カワウのフンで
  だめになる植生もあるが、そこから、また、新しい植生が生まれる。」とあった。
  確かに、等々力でも、4〜5年見ていると、新たな緑が生まれているようである。
  そういう意味では、自然はしたたかで、強い。

Q:鳥の名前を覚える秘訣は?
A:慣れ。長く続けること。例えば、毎週1回、1年間続けて、同じ場所を観察すること。
  井田山・矢上川だと24〜25種類。モノサシ鳥、場所で見る。楽しむこと。

Q:釧路湿原、瓢湖等で、餌付けをしているが。餌過剰で環境汚染では。
A:野鳥の会として、全国的統一見解を出すことは少ない。各地元、地元で判断。
  専門家が関わっているので、環境汚染まではなっていないはず。
  冬鳥は、北から渡ってきて、餌がないと死んでしまう。
  今まで、人類がたくさんの鳥、生物を滅ぼしてきた。それに対してのせめてもの償いと
  考えても良いのではないか。

                                      以上 文責:竹井


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