井田山便り(24)2001年11月17日(土)8:30〜12:00曇り・慶応大の岸先生、白井さんの訪問

矢上川活動のつながりで、鶴見川流域/矢上川流域、多摩〜夢見が崎の崖線保全の
提唱を行っています、慶応大の岸先生とたま-ゆめ崖線ネットの白井さんが、井田山を
訪れました。

   関連URL:いるか丘陵http://www2.airnet.ne.jp/iruka/index.htm
         たま-ゆめ崖線ネットワークhttp://www.246.ne.jp/~ardea/gaisen.html
         鶴見川流域ネットワーキング(TRネット)http://www.tr-net.gr.jp/top.html

         原口さん   岸先生                    白井さん

原口さんも、最初の方に顔を見せていただきました。


岸先生の第一声は、
 「矢上川流域で、一番、自然な流れの小川が残っているところ」
  です。なんか、寂しい話しではありますが、井田山の貴重さを改めて認識しました。

・1960年代には、矢上川流域を含む鶴見川の全流域に、500くらいの谷戸が
  あったと思います。今は、そのうちで流れがあるところは150ケ所ぐらいか。
 さらにそのうちで、ホトケドジョウが中期的にみて無事にくらせそうな谷戸は、
 10ヶ所くらい。谷戸群が相互にきれいな流れでつながっている、拠点域は
 2ケ所だけ。市民の細かい手当てなしに、長期的に安定できそうなのは、この
 2ヶ所だけかもしれない。

残念ながら、井田山の小川は、最後は、雨水管で、矢上川に落としていますので、
魚等も、遡ってこれません。
 
・この水質だと、ホトケドジョウは大丈夫かもしれない。
  ホトケドジョウの親は、今の流れの中で生きていけるだろう。
 大雨時に水が出た時は、流れの脇にセキショウなどの群落があれば、危険を察して、
 きちんとかくれるから大丈夫。
・繁殖する場としては深みが必要だけど、例えば、底が浸食されないように洗面器でも
 入れておけば、繁殖/子どもが育つだろう。
・繁殖させるにはもう一つ水質の改善が望ましい。

・本来は川がつながっていたら、一つの谷戸のホトケドジョウもいなくなったら、
 他の谷戸のホトケドジョウが矢上川を経由して、遡ってきて、また、住みつくだろうに。
・井田山のような分断された環境を、生態系の用語で言うと、「島」と言う。
 「島」と「島」を結びつけるのは、今となっては、人間が担うしかない。
・ヨシノボリ(ハゼの仲間)、シマドジョウも、大丈夫かもしれない。
 シマドジョウは、本来の生態系にあっているかどうか、議論は別れるが。
 
・カワニナもいる。大きくなると先が欠ける。
  ホタルは、いろいろ騒ぐ人がいるなー。
 
ということで、岸先生は、ホトケドジョウ復活に意欲的でした。

また、小川の様子、民家跡の様子を見て、
・土壌の流失を防ぐ必要がある。
・小川は、「セキショウ」を植えることで、2年もすれば落ち着く。
 今も池のまわり、入り口近くの小川の側に、セキショウが植えてあるが、
 乾燥している土のところよりは、株を小川の中に投げ込んでおくだけで、
 元気なセキショウが育って、増えていく。泥のむき出しになっている水際に
 植えてゆけば、それが崩れを押さえる。
・民家跡、背後の斜面も、このままでは、どんどん土砂が流失する。
 竹でも、細めの木の幹でも、あと、枯れ枝、刈った草などを使って、
 2段か3段、等高線にそって、土留めを作れば、止まるだろう。
・そうすると、雨水も土留めにたまり、ゆっくりと、小川に流れていく。
・クワガタもすむだろう。
・斜面と小川を含めた、水の循環(の健全さの回復)が大切。
 
・歩道を作る時も、注意深く作らないと、浸食の原因を作る。
 土露出だと危ない。木材をうまく使う必要がある。
・水質浄化は、ガラ「大小のコイシ」を濾過として使うので効果あるだろう。
 水量測定をしている、水が落ちているところの上までをそんなふうに
 濾過エリアとして、使えば良いかな。
 炭/チャコールも良いけど、付着した跡の処置、交換などが必要だね。

というようななアドバイスも得ることができました。

岸先生は、日吉のキャンパスにいますので、歩いても来る事が出来ることから、
「もし良ければ、これからも定期的に来たい。」
「ホトケドジョウ、水の循環についても、了解が得れれば、取り組んでいきたい。」
という、お言葉、申し出がありました。
 
岸先生には、「会として検討させていただきます。」とお答えしました。
名付けて、「ホトケドジョウ復活作戦」「緩やかな水循環の形成」でいかがでしょうか。

 
その他、頂上のどんぐり広場、蝶の草原、大蔵土地なども見ていただきました。
クヌギのドングリを見つけ、いくつか拾われて行きました。
「もう、ほとんど、我々で拾いましたよ。」と言うと、「遅かったか」と残念がって
いました。

・蝶の草原/斜面については、「危険防止の工事をした跡」と説明すると、
 「適切な処置だろうね。工事のやり方も丁寧。」ということでした。
・すぐ横の残された森の部分については、「民家まで距離もあるから、
 まぁー、大丈夫だろうね。古くなって倒れそうな木が出来た時の処置を
 どうするかという課題はあるが。」というような雰囲気でした。

鳥についても、アオジ、コゲラを目視。ヤマガラ等もいるだろうな、
とかの言葉も。コゲラについては、巣を作っても良い環境だなーとのこと。
白井さん(都立大学大学院)は鳥に詳しいです。

鳥については(も)、良くわからないので、「はぁー、そうですかー。」
と応えるのみ。

草花については、
・キクの類がどんどん減っている。ヤクシソウも無くなってきている。
等々。井田山のヤクシソウも貴重な状況です。
 
井田山だけを見ていると、井田山の貴重さが分からないのですね。
もっと、あちこちを歩く必要があることをあらためて、感じました。

追伸

蝶は、ヤマトシジミが、蝶の草原の下の方でたくさん飛んでいました。

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