山形周遊写真紀行

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2018年7月 古希の祝いということで旅行で山形に行くことになった。出羽三山の修験道巡りは以前テレビで観て興味はあったが、羽黒山の五重塔が明治以来初の一般公開となっており、それを見たいというのが妻があえて山形を選んだ理由かと思っていたが、どうやら妻の母方の先祖が山形出身であることで自分のファミリーヒストリーの探索の一環で選ばれたようだ。ツアーもどちらかというと観光よりもおいしい料理と高級温泉宿で過ごすのが売りの夫婦限定のツアーであり、自分としては少々物足りなかったが、妻からは古希のお祝いをしたのだから帰ったらコキ使うと宣言されてしまった。

越後関川付近 バスの車窓より荒川に架かるダムを望む。

新幹線「つばさ」で米沢に到着すると、直ぐにバスに乗り3時間近くかけて山形ではなく新潟の笹川流れに向かう。
笹川流れの奇岩

笹川流れは新潟の桑川駅の近くにあり、海水浴のメッカだそうだ。観光船に乗り笹川流れを周遊する。
恐竜岩

笹川流れにある奇岩には名前が付けられている。1186年兄の頼朝に追われた義経一行が奥州平泉を目指して海岸づたいに馬を走らせていたが、切り立った断崖のため馬を諦め、漁師の案内で航路で山形鼠ヶ関へ上陸したという伝説が残っている。
ニタリ岩?

洞窟がある岩が多いが、この岩は義経が供の者に何かに似ているでしょうと言われ ニタリとしたという伝説があることから付けられたという(多分後づけと思うが)。


笹川流れのクルーズはカモメに出会えることをキャッチコピーにしているが、他に鵜やトンビ、アザラシ(?)のような海洋動物なども見られた。岩ガキが美味しいと言うことであるが、ツアー客の何人かが時間がなくて食べれなかったとバスの中でこぼしていたが、カキは厚岸産でしょ。
雄獅子岩

大きなライオンが片足を上げて頭を持ち上げているような姿というのだが、どう見てもイメージがわかない。
カモメの餌付け

松島や島原湾のカモメもそうだったが、カモメは餌付けになれていて人を恐れず、餌をよこせと催促する。
帰路を急ぐ観光船を追いかけてくるカモメ

日本海に沈む夕日が素晴らしいそうだが、今回は残念ながら見ることが出来なかった。
あつみ温泉の温泉街と川に架かる「こいのぼり」ではなく「あゆのぼり」

アユの塩焼きは夕食になかったが、今回のツアーは午後4時には必ず宿に着き、ゆっくり温泉に浸かり美味しい食事をして宿で過ごすのが売りのようである。だが我々はホテルに到着後 温泉街を散策しようと思って直ぐホテルのロビーに向かったのだが、猛烈な雨が降ってきて断念。
羽黒山随神門

翌日は小雨模様の天気だったが、羽黒山五重塔まで歩く。
羽黒山の石段

山頂まで2,446段あると言うが、我々は五重塔まで歩き、そこからはバスで山頂まで行くことになっている。
苔むした灯篭

五重塔に行く途中は年代物の杉の木がうっそうと立並んでいる。ツアー客の中には天気が悪いので かえって趣があると強がっている人もいた。
五重塔と門番地蔵
国宝羽黒山五重塔

杉の素木造りで600年前に再建された東北では最古の塔である。
羽黒山五重塔

創建は平将門と伝えられ、現在の塔は室町前期の建造物である。松尾芭蕉も訪れており、羽黒山山頂付近の南谷に「有難や雪をかをらす南谷」という句碑が残っている。
羽黒山五重塔特別拝観

今年(平成30年)4月28日より11月4日までは、明治以来150年ぶりに初めて羽黒山五重塔の特別拝観が許され、塔内部に入ることが出来る。また右側に見える簡易櫓からは塔内部の心柱を見ることが出来る(写真は不可)。
アジサイと灯篭

この辺りでは今頃がアジサイの見頃のようである。
霊祭殿横の社殿

これも相当厚い茅葺きである。
羽黒山三神合祭殿 I

羽黒山、月山、湯殿山の神々が合わせて祀られた大社殿。手前のコウホネで埋まっている池は鏡池といい羽黒神を映し出す池として信仰され、平安時代に捧げられた銅鏡が埋蔵されているといい、現在も鏡を奉納する儀式が行われていると言う。また羽黒山は現世、月山は前世、湯殿山は来世を表すという。
全国200社の羽黒神社の本源社である。
  羽黒山三神合祭殿 II

茅葺きの厚さは2.1m程あると言う。妻が御朱印帳の記帳をお願いしていたが、バスの時間までに受け取ることが出来たようである。我々は写真を撮ったりしているためか、いつもバスの定刻少し前には戻るのだが、いつも最後になってしまう。定刻前でも全員が揃うと出発するので、かなり早めに戻るようになり ちょっと損したような気分だ。個人旅行と違って融通が利かないのが難点である。
三神合祭殿の大鳥居

随神門から2,446段の階段を登りきるとこの大鳥居が現れる。
松尾芭蕉の像とアジサイ
何か人の顔の様にも見える朽ちた巨木
小雨の降る中 牛渡川にある「丸池様」に向かう。

ガイドさんが鳥海山が天気なら あの辺に見えるんだけど等と、バスで走っている間 色々な所で鳥海山の話をしてくれるのだが、とうとう一度もお目にかかることはなかった。山が見えなければ田圃か畑だけの風景の中を走るので、方向感覚がなく 後で何処を走ったのかルート確認をするのが難しかった。何時か鳥海山が「つや姫」でも植えた水田に逆さに映りこむ風景を一度見てみたいものだ。
丸池様

鳥海山の湧水が作り出した神秘の池。北海道の摩周湖の裏にある「神の子池」に似ていると思った。この場所は地図でも発見できないし、たぶんこの辺りの人にしか知られていない場所だと思う(最近テレビで山形県の「何だこれミステリー」で紹介されていた)。近くの牛渡川には梅花藻が群生していた。
銀山温泉

午後4時頃宿に着いたので、温泉街を散策する。
足湯をする人々

川の両側に100メートルぐらいの長さで宿が連なっている。
大正ロマンを感じさせる旅館街である。
映画「千と千尋の神隠し」の舞台となった温泉街は銀山温泉をモチーフにしていると言われている。
小関館

大正時代の温泉宿を感じさせるような造りの宿が多い。
お土産屋さん

くじら餅という昔 戦の時の保存食として作られたというお菓子などを買ってみる。
白銀の滝

温泉街の先まで足を延ばしてみると小さな滝があった。
洗心峡

確かに心が洗われるような場所である。
夜の銀山温泉 I

レトロなガス燈が温泉街の雰囲気を醸し出してくれる。
夜の銀山温泉 II

山形に来る直前、山形に2年間単身赴任して東京に帰って来たという女性から、山形で幻の名酒と言われる「十四代」を飲めたことが一番の良い思い出だったと言う話を聞いた。自分もまだ一度しか飲んだことがないので、泊まった宿やレストランで手あたり次第に注文したがどこでも置いてないという、山形でも幻の酒のようでる。ある店ではメニューに売り切れと斜線が入っているが、売り切れと印刷してあるので最初から手に入らないと諦めているのだろう。
夜の銀山温泉 III

冬場の銀山温泉はさらに風情があるという。
荒砥駅

ここから山形フラワー長井線に乗り長井まで約20分の電車観光をする。
山形フラワー長井線のカラフルな車両
長井駅までの約20分だが、駅長さんの面白いガイドで楽しい電車旅だった。しゃべり口が北海道弁に似ているところがあり、北海道には山形から来た人も多いのではないかと思ったりした。 現在最上川沿いに桜を植えており、後30年もすれば見事な桜並木を見ることが出来るので その時また来てくださいというのだが、お互いこの世に存在しているとは思えない。
旅の最後に熊野大社を訪れる

また階段か! このツアーは夫婦限定ツアーなので金婚式のお祝いなどで来た人が多いのか、結構な歳の夫婦が多く、階段の上り下りが大変そうである。我々夫婦がツアーの中では一番若いようである。
我々と違い大体ご主人の方が旅行をアレンジしているケースが多いようだ。サプライプレゼントなのか、ご主人にツアー出発2日前に旅行の事を聞かされて大慌てで旅行の支度をしたと言う奥さんや、ご主人がやりたい放題遊んでいるので罪滅ぼしにツアーに参加したのか奥さんはじっと我慢の観音菩薩のような夫婦等、色々な夫婦がいるものだと思った。
熊野大社

熊野大社は日本三熊野といわれ、東北のお伊勢さんとも言われているが、縁結びの神様として有名だそうである。この茅葺きもかなりの厚さがある。
    ウサギを探せ

熊野大社の裏にある社殿の彫り物の中にウサギが3羽隠れているといい、見つけるとご利益があるというので探すが、3羽目が分からない。
熊野大社の大鳥居の向こうに夏の入道雲が広がる。

この日は前日とは打って変って34度の猛暑日だった。ガイドさんの話では山形は1933年に40.8度を記録し、2007年まで73年間日本最高気温の記録を保持していたそうだ。
夏空の下の米沢駅

東北はこの帰る日が梅雨明けだった。米沢駅より新幹線「つばさ」で猛暑が続いているという東京に向かう。

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