Bernie and Art Production, since1969
Takanano Factory Jun Takana
Tsukushino, Machida, Tokyo





まちなかアートコレクション
Art Collection in Town










いつものあそび
Les objets d’usage quotidien

弧
“枝”







08/23, 2025 更新 >> past articles 以前の記事


ジュリアン・シャリエール
『MIDNIGHT ZONE』
をのぞく
@PERROTIN・六本木(〜8/30)

JULIAN CHARRIERE(b.1987)
はベルリンをベースにするアー
ティスト。 火山のクレーター、
氷河地帯、放射能汚染地域、深
海といった過酷な環境への探索
が彼の作品のインスピレーショ
ンとなっている

水中をイメージしたブルーに塗
られたギャラリー空間で、しば
し涼やかな時間を過ごしました




《 Midnight Zone 》2024
4K video, 56 min. loop

フレネルレンズの光源の周りで
渦巻く魚や鮫の姿は鏡のように
きらめき、炎に引き寄せられる
水中の蛾さながらだ。
(ギャラリー解説より)




ギャラリーの外の景色が映り込
んで面白い。ビルのアイコンで
あるガラスのピラミッドが佳い




《 A Stone Dream of You 》2025

でこぼこした溶岩の表面に、黒
い瞳を思わせる黒曜石の球体が
埋め込められた彫刻は、熱水噴
出孔の化学的な靄の中で誕生し
た異形の生命体を彷彿とさせる。
(ギャラリー解説より)




瞳を思わせる黒曜石に映り込む
撮影者の卑しい姿、とほほのほ
(上写真すべて当方撮影 08/20)


ギャラリー奥には、白化したサ
ンゴを砕いて顔料にしたリトグ
ラフ作品もあって少し酷しい…

ギャラリーのサイトで全展示作
品が観られる
のでどうぞ…

●●●
アーティストは語る、

風景は決して舞台背景ではあり
ません。共同制作者です。私は
ランドアートの流れを汲んでい
ますが、やり方は正反対です。
土地にしるしを刻むのではなく
、土地を展示空間に持ち込みま
す。そうすることで、見る人に
も自分の座標が揺らぐような感
覚を体験してもらうのです。


t o d a y s h a i k u
深海の生死は無音
去年今年(藤田湘子)




【 08/22, 2025 】

水中花といえば(なぜか)
樹脂を水中に垂らして創る
井上相雨の作品を想起する



かれこれ10年くらい前、渋谷の
ヒコ・みづのジュエリーカレッ
ジでみた井上相雨の作品
(パンフレットをスキャン)

●●●
水の中に渦を巻いて落ちる墨。
隠喩としての時間の流れ。
誰もが手に入れることができる
巣材と、ワイヤーによるシンプ
ルな造形を用い、井上相雨は詩
的で装飾的なトーテムを生み出
した。作品は、その形が生み出
す自身の影をも巧みに操ってい
る。(パンフレットより)




井上相雨:facebook



井上相雨:Emigre Collection


◎きょうのおまけ:

 

 マーブル紙というのは、日本の墨
 流しが中国に伝わり、シルクロー
 ドを使って1800年代にヨーロッパ
 に入ってきたと言われます。
 → 上写真:
IL PAPIRO(Firenze)

t o d a y s h a i k u
おもひきり筆が
墨吸ふ油照り(小川原嘘帥)



【 08/21, 2025 】

涼やかな
キリヌキ







40年くらい前の『家庭画報』
のキリヌキ。裏面もまた佳し


◎きょうのおまけ:

 

 「水中花」と検索したら、カー
 用品のシフトノブが真っ先に出
 てきた(笑)
愛の水中花でなく

t o d a y s h a i k u
いつはりもいたはりのうち
水中花(鷹羽狩行)



【 08/20, 2025 】

池波正太郎『日曜日の万年筆』
(新潮文庫・1984年)を読む
初出は1980年新潮社より刊行



▲著者の手になるカバー画
▼表4カバーキャッチ

池波正太郎のエッセイには、男の
本音がある、人生がある、生きる
楽しみを享受する男のリズムがあ
る。作家への道を拓いた幼き日の
観劇の一日、手と躰で物を造る感
覚を養った旋盤工時代、行きづま
った小説の結末を見いだしてくれ
た飼い猫ネネの話、映画のこと、
衣食住について、現代人の見失っ
たもの、仕事の裏ばなしなど…。
手練の切れ味を見せる ”とってお
きの 51話 ”。


●●●
終戦の年の5月に、私は横浜の
海軍航空隊から山陰の航空基地
(現在の米子空港)へ転じた。
(中略)そのころの私は、めっ
たやたらに短歌や俳句のような
ものをつくっていた。これは、
ふしぎだ。近いうちに死ぬとお
もうと、名も知らぬ草花も空の
色も何ともいえずに美しく、胸
がしめつけられるようなおもい
がした。

ひときれの生胡瓜にも涼を追い

というのは、そのころにつくっ
た句らしきものだが、絶望的な
自分の気もちが、はっきりと出
ている。(「私の夏」P159 )


●●●
もし、原子力発電所に事故が起
り、原子炉の核が露出してしま
ったら、数分以内に、熱による
核溶解が始まる。そして溶解物
はコンクリートを溶かし、地中
へめり込んで行く。その力は理
論的にいうならアメリカの反対
側に位置するチャイナにまで達
するといわれている。さらに地
中で冷やされたウランと死の灰
は二万五千年もの間、四方に強
い放射能をまき散らしつづける
。この状態を〔チャイナ・シン
ドローム〕と、よぶのだそうで
ある。実際には、溶解物は地下
の水脈に接触すると地底で大爆
発を起し、広大な地域にわたっ
て放射能をまき散らすことにな
る。(〔チャイナ・シンドロー
ム〕と〔月山〕P167 )
チャイナ・シンドローム 1979年


●●●
人間という生きものは、苦悩・
悲嘆・絶望の最中にあっても、
そこへ、熱い味噌汁が出て来て
一口すすりこみ、(あ、うまい
)と、感じるとき、われ知らず
微笑が浮かび、生き甲斐をおぼ
えるようにできている。大事な
のは、人間の躰にそなわった、
その感覚を存続させて行くこと
だと私はおもう。
(「私の正月」P269 )

t o d a y s h a i k u
お裾分けされた水ようかん
が差し上げた水ようかんだ
と気づく猛暑日(鈴木美紀子)



【 08/19, 2025 】

書き込み自由 ?



(この看板、)
目隠しになっていて危ない!
@町田市金森図書館前 25/08/13

t o d a y s h a i k u
存在と時間とジンと晩夏光
(角川春樹)



【 08/18, 2025 】

74歳になってしまった
あらら、
どうしましょっと




昨日は、幸楽苑で前祝いッ
いつもの 会津花春と叉焼




アクシデンタルショット

t o d a y s h a i k u
ゆく夏の時間の砂を
均しけり(角川春樹)



【 08/17, 2025 】

『CasaBRUTUS』7月号より





生活空間を彩る
テキスタイルアート。


〈フジエテキスタイル〉とグラフィ
ックデザイナー、小林一毅がコラボ。
曖昧な日常の断片をとらえ、黒と白
のみで表現した図案をテキスタイル
に落とし込んだTEXTILE ART CO
LLECTIONが発表。余白や線に宿る
静けさが、生活の輪郭にやさしく寄
り添う。 44.5×61cm 74,800円


t o d a y s h a i k u
誰が死んでも仙人掌仏
花にはならず(長谷川久々子)



【 08/16, 2025 】

JB press
2025/06/20 記事より



●●●
米国大統領ドナルド・トランプ
の TACOぶりが 際立っている。

「TACO」は、Trump Always
Chickens Out(トランプは常に
ビビッて退く)の略語
で、いま
急速に世界で広まっている。

もともとは、英『フィナンシャ
ル・タイムズ』(5月2日付)で、
コラムニストのロバート・アー
ムストロング氏が 「Taco trade
theory and the US market’s sur
prise comeback」(TACO貿易
理論とアメリカ市場の驚きの復
活)というコラムで使用したも
のだ。

「もはやトランプが何を吹こう
が、どうせ取り下げるだろうと
、市場がそれを見越して動くよ
うになった」。その後、外交分
野にも「TACO」理論は当ては
まるではないかと、欧米メディ
アが指摘し始めた。例えば、「
オレなら1日で止めてみせる」
と豪語していたウクライナ戦争
は、トランプが大統領に就任し
てまもなく半年になるというの
に、ロシアのウラジーミル・プ
ーチン大統領に舐められっぱな
しだ。

t o d a y s h a i k u
叩かれて昼の蚊を吐く
木魚哉(漱石・明治28年)



【 08/15, 2025 】

デイヴィッド・シール著
『タコの精神生活 ー 知ら
れざる心と生態』
を読む
(草思社 2024年11月刊)

◎◎◎◎◎◎◎◎

25年もの長きにわたって、
タコを研究してきたアラスカ
・パシフィック大学、海洋生
物学教授のデイヴィッド・シ
ールの著書である。著者の娘
が描いたイラスト以外、写真
や図版がなくいたって真面目



原題 "Many Things Under a Rock:
The Mysteries of Octopuses"
訳/木高恵子
ブックデザイン/小川順子

(カバー見返しキャッチ)
タコはどう世界を見ているのか。
タコはどんな価値観で物ごとを判
断するのか。タコ研究の第一人者
が、自身の長年にわたる研究や、
フィールドワークで調査した先住
民たちの伝説などを織り交ぜ、タ
コの精神生活にまつわる驚くべき
科学的発見の数々について語る。


◎◎◎◎◎◎◎◎
本書に登場する、個人を見分け
ているらしきタコのエピソード
がとくに興味深かった ↓↓↓

●●●
「大学の水槽にいるタコのアメ
ジストは私をとても嫌っていて
、私が水槽の近くに立つと冷た
い塩水を噴射する」。 そこで
著者は水鉄砲を避けようとアク
リル板の脇に立って訪問者にタ
コを紹介していたが、アメジス
トはバナナシュートのように水
をカーブさせて障壁越えに著者
をびしょ濡れにしたという。

一方、サーズデイと名づけられ
たタコは著者の娘(本書の章ご
とのイラストも描いている)が
大好きで、学校から彼女が帰っ
てくると挨拶に出て来て、指先
を水槽に入れると30分もしがみ
ついているらしい。



●●●
劇的に暗い色をまとい、一瞬不
気味な縞模様が現れた。それか
ら外套膜の色が薄くなり、次に
腕の色が薄くなった。そして全
体的に薄い色になり、乳頭は消
滅する。薄い黄色が現れたかと
思うと、色あせ、戻り、そのま
ま続いた。すると、一瞬にして
、彼女の皮膚は黒くなり、血管
に沿ってシワができる。再び薄
い色合いになり、それから黒色
に近いワインカラーになり、そ
の後は、真っ黒な雲が散在する
濃い迷彩のモザイク模様のパタ
ーンが続いた。
……ハイジは眠っている。なぜ
体の模様が変化するのだろう?
おそらく夢を見ているのだろう
。タコはどんな夢を見るのか?




●●●
ドラッグを使った実験により、
タコの驚くべき能力が明らかに
なった。タコは、人間と同様に
、快楽目的に使用するドラッグ
MDMA(エクスタシー)に反対
し、他のタコと一緒に時間を過
ごすことを選択したり、より頻
繁に触れたりするなどの「向社
会的」行動を増加させた。

この反応を調整するセロトニン
とオキシトシンのホルモン系は
進化的に古く、タコは孤独で非
社会的という評判にもかかわら
ず、生理機能として活性化する
ようだ。




●●●
オーストラリアのある場所では
タコが集団生活を送っている場
所がある。オクトポリス(タコ
の街)と名付けられた場所は、
タコにとって巣穴が作りやすく
、餌である貝が近くに生息して
いる場所である。そのタコたち
は毎日争っているかといえばそ
うではなく、共同生活を送って
いるらしい。ただし、新たに訪
れる新米者のタコには厳しく対
応する。このオクトポリスで、
外から来たよそ者のオスがここ
に棲んでいたオスダコを襲って
巣穴を奪おうとしたときに、そ
れを見ていた近所のメスダコが
そのよそ者のタコを襲って絞め
技で追い出した。まるで顔なじ
みのご近所さんを助ける人間的
な行動に思える。


各章の初めに置かれた写実的で愛
嬌のあるイラストは、著者の娘・
ローレル ”ヨーヨー” シール (デ
ザイン学校の学生)が描いたもの

t o d a y s h a i k u
八月は六日九日十五日
(永六輔)



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