井田山の谷戸・クヌギ林のクワガタ虫・・・のお話し」 日時 2002年9月21日(土)9:30〜12:00 場所 川崎市井田病院・1号棟講堂 講師 慶応大)岸由二教授 配布資料 講演レジメ 関連資料 知って楽しい「自然の住所」キーワードは流域住所 多摩・三浦丘陵群の未来を考えるシンポジウム報告書 「いるか丘陵の自然観察ガイド」 岸由二編 山と渓谷社 内容 ・300人ぐらいだと緊張するが、今日は、面白い、または、話しが はずんで、おかしな話しになる可能性もある。おつきあい下さい。 ・いつもは3時30分くらいまで起きていて、4時間ぐらいの睡眠。 今日は準備のため、4時30分ぐらいまで起きていた。 頭が目覚めるまで、寝ぼけた話しになるかもしれないがご容赦を。 ・慶應大学の経済学部に生物がある。理工学部には生物学がない。 物理、化学等も同様な扱いで、理工学部以外のどこかにある。 ・行政からは、経済の名目で呼ばれることがある。 ・慶應の日吉には、中に森がある。神奈川トラストで、学生と維持活動を 始めている。杉を切って、草を刈って、、水を回復しようとしている。 クロスジギンヤンマ、水循環の回復。 ・授業以外は事務、あとは外で草刈り。授業は人の1.5倍やっているつもり。 ・市民活動をしている。都市の中の水と山につきあっている。 ・今日はリクエストに沿って、難しそうだけど、4題話しで話します。 ・多摩丘陵の中の井田山の位置づけ ・矢上川、鶴見川流域との関連 ・クワガタムシ。心地よく棲んでもらうためには。 ・都市の中の緑地との意味。つきあいかた。 1.環境危機の時代 自然と共存する持続可能な都市の文明をいかに育ててゆくか ・都市で自然とつきあうのは悪いこと? 赤坂、六本木でワインを飲むことが必須だとするとどうする? ・社会的に意味があるから、ではなく、基本は、自然が好きなこと、 自分にとって幸せだから、、、が私の自然とつきあっている理由。 ・投網、草刈りをしていると、偉いと思ってくれる時代でもある。 ・どうして、偉そうに見えるのか?そういう時代。 ・虫が好き、草が好き。だけど、そういう社会だと、自覚しておく必要がある。 ・あの先生はおかしいと言われる。確かにおかしいかもしれない。 ・環境危機、何が起こっているか。 その歴史の中で、ご飯を食べ、自然を使ってゴミを出す。 文字通り、地球スケールの規模に影響を及ぼすようになった。 1万種/年の生物が絶滅していく現在でもある。 ・人口の増え方、40年で2倍になる ご迷惑料は、20〜30年で2倍。 ・昔は裸足でゲタで、、貧乏だった。それが豊かになった、 一人一人が使う資源の量は増加の一方。 30年で倍、60年で4倍、90年で16倍、、300年では1024倍。 ・産業革命から始まって、今、ブレーキがかかってきたが増えていく一方。 ・今、63億人。地球の表面で人間が生きていくには2〜300億人が限界。 ・地球環境サミットも始まっているが、関心はまだまだ低い。 ・みんなが普通に暮らして、ゆたかを求めて、子供を育ててきたから。 ・白亜紀末の大絶滅よりも凄い勢い。さて、どうするか? ・文明の転換には200年かかる。変化があらわれるのは100年、3世代、 曾孫の世代。100年がかり、100年かけて、自然と共存していく文明への展開が必要。 ・産業文明は都市の暮らし。自然と共存する都市の文明。 ・日本で森がなくなった、緑がなくなったというのはは嘘。戦後、間違いなく増えている。 ・経済活動で、日本列島の緑を温存して、世界の緑を無くしている。 ・政策は都市に住む人が作っている。 ・英国のナショナルトラストでは一人平均5000円、20人に一人が寄付。 日本は、全然加入が増えない。自然保護への寄付等は1000人に一人。 ・ワールドカップにお金を払っても、自然保護にお金を出さない。 ・お金を儲けたら、例えば歌手は御殿を建てる。寄付をしたら偽善と思うのが 日本、日本の文化。そういう人を褒めない。そういう文化をどう変えていくか。 2.足もとで地球を住み直すこと ・どこで、だれと、暮らすのか ・井田山でクワガタムシと暮らす。 ・一番重要なことは? ・どこで、だれと、暮らすのか。ちゃんとしたセンスを持つこと。 足元で地球を住み直すこと。地球を感じることは、例えば、屋久島に 行くことではない。ここで、遠くにいかなくとも地球を感じることが出来る。 ・石をひっくり返ると、ダンゴムシなど、いろんな虫がいる。 ・足元で地球を感じること。足元で虫と暮らすことこと。 ・井田山でクワガタムシと暮らせる、そう思うとハラハラ涙が出る。 そのセンスが大切。 3.地球の中の井田山を再発見する ・人工住所と自然の住所 ・井田山の谷戸から矢上川の流域へ ・矢上川流域から鶴見川の流域へ ・鶴見川流域から多摩三浦丘陵へ ・どこで暮らすか。暮らしているか。 ・幸区に住む。町田市の小山田に住む。それでは何が分からない。 ・鶴川駅の近くに流れる鶴見川。7〜8年前、TVKの取材があり、 鶴川駅でインタビューしたが、そのことを誰も知らない。 インタビュアーいわく「町田の人は宇宙人。」 ・田園都市沿線に住む人からも慶應に来る。 例えば、一つのマンションから3人来ることもある。 ・以前、夏休みの宿題に、難しい本を読むか、外に出ろ−自分の家の雨の水が どこに行くかを調べる−を出したことがある。 ・多摩川の流域に住んでいると思っていたが、鶴見川流域に住んでいたことが わかって、家族もびっくり。大論争になったとのこと。 ・地球のどこに住んでいるか、わかっていない。 ・行政も分かっていない。東急も鶴見川流域でお金を稼いでいるのに、多摩川 研究所として、多摩川研究にお金を使っている。イメージで使わない。 ・多摩川学園のネーミングも同様。 ・井田山で降った雨は、井田山、矢上川、鶴見川、生麦で海に至る。 いつも同じところに流れていく。 ・傾斜に沿って、降った雨が一つの川に集まっていく範囲が流域。 ・海に出る川は独立している。 ・尾根がある。日吉駅のすぐ側が分水界。バスセンタの信号のところで雨が 左右に分かれる。横浜側綱島側と矢上川側。 ・鶴見川。流域を76に分けてることが出来る。それが窪地、分水界。 ・区切り毎に住所を付けることが出来れば、それが自然の住所。 ・井田山の谷、矢上川流域の一部、鶴見川の窪地、流域の一部。 多摩・三浦丘陵群、関東平野、本州、日本の島国、地球。 ・研究室。多摩三浦、鶴見川、矢上川流域、松野川、マムシ谷、一ノ谷、北の方。 ・地球の上に暮らすことは、そんな地球のデコボコに上に暮らしていること。 ・センス、ナチュラリスト。そんな話しが通じること。 ・井田山でがんばって、鶴見川流域の中で、活動する。 ・横浜市で、洪水防止で鶴見川に関係ない大岡川と連携している。おかしい。 ・鶴見川の洪水を考えるということは、町田の源流の農地、林を守ること。 でも、鶴見区の人は関係ない、、横浜市治水も関係ないと言う。 ・行政の住所が同じだったち、なんでもかんでも同じだとやっている。 ・流域がまとまって、守る活動をした方が良い ・「自然の住所」学習マンガを作った。 ・配布資料の6〜7ページ目。分水界。境川、、多摩三浦丘陵、、イルカ丘陵、、、 ・そこにいて、、クワガタムシと遊んでいる。環境危機とつきあう感覚がそこで生まれる。 ・「リバーネーム」の本を出したが、300部くらいしか売れなかった。 岸目黒川鶴見川由二。死んだら三途の川。 ・外に出ないで声高に論じている人にこの話題を出すと声がなくなる。 自然の住所のどこに住んでいるか分からない。分かろうともしない。それでメンツがなくなる。 4.井田山で生きものたちの賑わいを守る ・クワガタムシをどうするか ・ホトケドジョウをどうするか ・コナラ林、クヌキ林。コクワガタ病。 ・コクワガタが大好き。キバが折れた、足がとれたコクワガタを保護している。 今も2匹いる。2〜3年は生きてくれる。 ・夢もコクワガタが出てくる夢が一番。人生で一番幸せな夢。 ・ある編集者が「岸先生と世界のクワガタ」の話しを持ってきたが、 コクワガタにしか興味がないと分かると絶句した。 ・コクワガタを守るためには給料全部使うが、世界のクワガタには興味がない。 ・コクワガタのためには、街の光がを入らない空間を作る必要がある。 ・折れて落ちた枝に棲む。そのままにしておくのが一番。 片づけたい場合は、近くにカントリーヘッジを作ってやること。 ・ホトケドジョウ。絶滅危惧機種。 ・鶴見川、154ケ所の谷戸があり、そのうち、51ケ所、地図の二重丸のところに ホトケドジョウがいる。 ・14ケ所、8つの亜流域に分かれる。 ・源流流域は二重丸だらけで、大体どこにでもいる。 でも、小野時も区画整理で半分消えた。100ha残る話しがまとまりそうだったが、 都市整備公団がつぶれ、どうなるか。 ・南の方、新治近くには二重丸はある。 ・中流流域はダメ。矢上川では犬蔵のみ。そこも区画整理で今は工事中。 環境省が逃げたのは最大の汚点。事業者は辛抱してくれている。 ・犬蔵のホトケドジョウは、水産試験場に避難している。小学校も里親。 ・水槽に入れておけば増えてくる。飼育は難しくはない。 ・みんなで里親になって、保存していくことが大切。 ・ことは人の文化、人のこころ。 ・ホトケドジョウを大切にする親をみていた子が、例えば、大きくなって、 環境省に入って、世界の自然を守る仕事につくかもしれない。 ・まず、櫂より始めよで、慶應でも回復させている。湧き水、1〜2cc/秒の流れを確保 しつつある。日吉キャンパスで生息が回復したアナウンスをしていこうとしている。 ・ネットワークを作っていけば、市街地90%以上の矢上川でも、隙間の緑を残してつないで いくことが出来る。 ・学校も混ざっていくことが大切。有馬、久末。ここから出来ていく。 5.都市の緑地をなぜ守るのか ・自然と共存する持続可能な都市の文明を育てる仕事を井田山から ・流域思考の鶴見川流域ネットワーキング ・流域・丘陵思考のいるか丘陵ネットワーク ・環境危機の時代。100年ぐらいかけて解決していくしかない。 自然と共存する空間、人の心、時間、お金の使い方。 ・都市の中の小さな水、緑を守ること、そういう文化、暮らしを作ること。 おすがりして、人の心を変わるのを待つ。 6.足もとで地球をまもり、子どもたちを地球に放す ・子どもたちの地球度、自然度を、励まそう ・自分の子どもも自分なりの方法で自然の中に放してきたが、どこまで 分かってくれているだろうか。理解するのは孫の世代か。 ・守った緑地で、遊んでくれるのは孫の時代。 ・バリケン島。カニなどで、子どもたちが遊ぶ。 ・ターゲットにするのは、都市の足元で自然を守ること。 デコボコ、水の循環。自然の豊かさを守り、そこに「子どもを放す」。 ・鋳物工場で育った。川もない、緑もない。 ・ゴミムシ、ハサミムシ、ダンゴムシに興味。特にハサミムシが好き。 夢で大きなハサミに挟まれる、幸せな夢。 ・仲良く遊ぶ相手がいないとき、生物を相手に遊ぶことが出来る。 ・現代、モニタとペットで、動物に触れることが良いのか。 ・子どもに対して、ダメダヨといいながら、2〜3匹持って帰って良いよと いう雰囲気をいかに作るか。それが大切。 ・それで、いかに自然を大切にしていくを学んでいく、育っていく。 ・都市の中にそういう環境を作っていくこと、小さなところで作っていくことが大切。 ・読み書きそろばん、社交性が子どもへの要請。 高校までは、読み書きそろばんまで一緒懸命やってきている。 大学1〜2年は、遊ぶことで、社交性を鍛える時期になっている。 その後、ゼミ等、一所懸命、勉強するようになる。 ・もう一つ。自然とつきあうセンス、能力を身につけることが大切。 地球環境を感じ、大切にしていくセンスを持てることが大事。 ・自然の塾。勝手にやっていれば、勉強になる仕掛けを作ること。 講演後は、井田山を散策。 ご存じ「丸はし」でお蕎麦と歓談。 村上さんとは、「木を伐る」話し。 以上 文責:竹井
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