東京江戸散歩 写好倶楽部     Gallery II 旅の記憶 道東の情景 IX

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2018年2月幼馴染みのO君と道東を旅した。その一か月ほど前に二人で飲んだ時、彼が小学生の頃住んだことのある根室や、高校や大学院の頃昆布干しのバイトをしたことがある羅臼を元気なうちに訪れてみたいと言うので、急遽ドライバー兼ガイドとして同行することになった。冬の北海道は久しぶりなので地吹雪やブラックアイスバーンなど運転には気を付けなければならなかったが、幸い到着当日夜雪が少し降っただけで、旅行中はおおむね晴天だった。早朝や夜間の走行はしなかったので4WDでスタッドレスをはいたレンタカーだったが、あまりその必要性を感じなかった。羅臼から野付半島、尾岱沼、風連湖、根室半島一周の5日間の旅だったが、道東の自然にあこがれて来る海外の旅行者が多いのにはびっくりした。あらためて道東の自然は居住地とあまり離れていない所に希有な自然や野生の野鳥などの生物を見ることが出来る世界でも稀な場所だと言うことを実感した。

鷲の宿 撮影場所
初日はシマフクロウを撮れることで有名な「鷲の宿」に泊まる。道東に行くことになった時、すぐに予約を入れたが満室で近くの他の宿にしようかと思ったが、出発5日程前にもう一度空いていないか電話したら、キャンセルが出たのか宿泊の予約を入れることが出来た。ここはリピーターや外国からのツアー客が多く、来年の予約も難しいと言う。
シマフクロウは世界で最大級のフクロウだが夜行性なので、夕方6時頃から朝5時頃までの間だけ、この窓から見える小川に放流している魚を捕食に来るのを観察することが出来る。室内の電気を消して、窓を開け寒い中シマフクロウの飛来を待つ。
シマフクロウ
今回は写真を撮るのが目的でなかったが、出発間際になりやはり一眼レフも持って行こうという気になり、カワセミ撮りで使っていたカメラが部屋にあったので急遽詰め込んだのは良かったが、シャッタースピードをカワセミ撮りに設定していたためバルブで撮ることになりほとんどブレて失敗してしまった。これは何とか撮れた一枚。この宿ではシマフクロウの来る辺りに特殊な照明を使っておりシャッタースピードは1/80がちょうど良いそうだ。暗い中カメラを初期設定にしたが上手く行かず、カメラが故障したと思い諦める。
羅臼港
翌朝野付半島に行く前に、流氷を見るクルーズに乗ろうと言う話になって港に出たが既に出航していて断念する。
羅臼港
近頃は流氷やシャチ、クジラなどを見るクルーズが人気があるようである。これは貸し切り船で羅臼の奇岩ゴジラ岩などを見るクルーズのようだ。
時間があるので尾岱沼のホテルに行く前に野付半島のネイチャーセンターを訪れることにする。
野付半島から見えたオホーツク海に浮かぶ国後島。流氷は最近風の向きが変わって流れ去ったそうだ。
野付半島のナラワラ辺りから知床連山を望む。北欧かロシアのような日本とは思えないような光景。
雪の積もったテトラポットの向こうに国後島を望む
野付半島のネイチャーセンターでスノーモービルで野付湾を周るツアーに参加しようとしたが、今日は氷の状態が思わしくないのでやっていないと言う。仕方がないので氷上をガイドと歩きトドワラまで行くツアーに参加する。
トドワラ
年々少なくなり後数年でトドワラは消滅してしまうのではないだろうか?
春国岱にあるトドワラの方がまだ多いと思う。ツアーを終え今晩泊まるホテルがある尾岱沼に向かう。
尾岱沼港
野付湾が凍っているので多数の漁船が港に停泊している。初夏は北海シマエビ採りの帆掛け船が見られる。
尾岱沼の町の近くの氷上でチカや氷下魚を採る釣り人のテントが見受けられワシもいるようなのでちょっと寄ってみる。
オジロワシ
全長83~93cm、一部は一年中道東、道北に生息する。
オジロワシと知床連山
ワシを撮るカメラマン
このお爺ちゃんは九州から来ていて、北海道が大好きで家族には家出すると言って出て来たそうで、何日も家を空けていると言う。ワシを撮りに何日も通っているようであるが、車が福岡ナンバーなので車中泊しているのかもしれない。
オオワシ
白い肩が特徴で全長88~102cmにもなり、羽を広げると2m以上になる。秋から冬にかけて道東に飛来する。
尾岱沼の「シーサイドホテル」にはよく泊まるのだが、ここは温泉付きの宿で変形太陽がホテルから見ることが出来るので有名である。
朝6時部屋の窓から変形太陽を狙うが、雲が出ていて今日は無理そうである。毎年12月から翌年の2月頃までこのホテルに滞在して変形太陽の撮影をしていた太田さんは、歳で車の運転が難しくなったので今年は来ていないと宿の女将さんが残念がっていた。
太陽が雲の中から昇って来たが、朝焼けが綺麗だった。
   温泉があるためかホテルの側に野付湾の氷が溶けている所があり、そこに白鳥が飛来するようだ。
白鳥と尾岱沼の町
一本松とオジロワシのペア
風連湖に向かう途中、伊能忠敬が測量の途中風連湖に立ち寄ったという碑がある近くにワシのお休みスポット「一本松」があり、ちょっと立ち寄ってみる。
風連湖の走古丹に向かう途中100頭以上のエゾジカの群れが道路脇に現れた。後で地元の人に聞いた話では、あまりに多くて車を運転出来ない時もあり、シカとの衝突事故も多いそうだ。
今年は暖冬でこれでも少ない方だと言うが、寒さが厳しい年は山の上で食べるものがないため下りて来てその数は数百頭にもなると言う。
この話を後で春国岱のネイチャーセンターの人に話したら春国岱ではもっと多いと言う。そういえば最近は根室市内にもシカが出没している。
走古丹の氷の張った港でチカ釣りをしていた人のテント内を見せてもらった。大体テント内は一人で、3ヶ所ぐらいの氷の穴を開け釣り糸を垂らす。コールマンの暖房器具を置いて、ラジオを聞いたりしながら気長に釣りを楽しんでいるようだ。今日は釣れないところを写真に撮られたと残念がっていたが、釣れる時は数百匹獲れるそうだ。穴も手動ドリルで開けるのは大変で、電動ドリルを使う人もいるそうだ。
氷の上のオジロワシ
根室の友達に聞いていた野付国道の終点近くにある釣りポイントに向かう。
遠くには釣り人のテントが点在し、釣りポイントを目指し風連湖の湖上に釣り人の車が疾走する。我々は岸辺に近い所に駐車する。
この辺りはチカ釣りの場所で無料だが、右手遠くの方にはワカサギ釣りのポイントがあるが、そこは有料で一人千円程取られるらしい。同じ湖なのでここでもワカサギも釣れそうに思うのだが。
湖上の駐車場
車が集まって駐車している所があるが、結構な重量になると思うので氷が割れないか他人事ながら心配する。根室の友達の話では3月頃までは大丈夫だと言うのだが。
多数のワシが釣り人のテントの周りに集まると聞いていたが、釣りが終りテントをたたむ頃でないと集まらないと言うので、春国岱ネイチャーセンターに向かう。
春国岱ネイチャーセンター側には原生野鳥公園の自然散策路がある。雪が深くて歩きずらいと言うので、スノーシュー(かんじき)を借りるが、これが厄介な代物でとても歩きずらかった。本来は30分程の散策路だが、1時間以上かかってしまった。
いろいろな鳥や、エゾシカ、キタキツネなどに遭遇することもあるが、この時は歩くのに精いっぱいで注意深く観察する余裕がなかった。
唯一撮ることが出来た野鳥。カケスだろうか?
春国岱の浜辺に向かう。
春国岱の東梅方面の海につがいの丹頂ヅルがいた。一般には淡水の湖や湿原にいるが、今日泊まる「レイクサンセット」の傍の風連湖で餌付けされているツルのようだ。
ツルが海で餌を探しているようだが、何を食べるのだろうか?後ろにいるのはツルの子供ではなくシギの仲間のようだ。
海に浮かぶ白鳥
白鳥も淡水に生息するように思うが、シベリヤなどの沿岸部で繁殖し、冬季は温暖な北海道の湖沼等で過ごす渡り鳥である。
春国岱のトドワラエリア
春国岱の遊歩道を進むが、この先は数年前の爆弾低気圧で決壊しようやく復旧したのだが、検査が終わっていないので開通は二日後になると言うのでこの辺りで引き返す。
春国岱のキタキツネ
春国岱の森には他に日本で一番大きなキツツキであるクマゲラがいたのだが、ネイチャーセンターの人の話ではここ数年見かけていないと言う。
春国岱の面白い氷紋
春国岱の遠浅の浜辺の丹頂鶴
子供の頃この遠浅の浜辺でアサリやホッキ貝を採ったものだが、今は漁業権で保護されて一般の人の採取は禁じられている。
春国岱の夕日にはまだ早かったので、O君が根室の車石のある花咲港方面に行きたいと言うので出掛ける。
花咲灯台下の太平洋の荒波
花咲灯台車石
玄武岩の放射状節理で世界的にも珍しいものと言う。
昔この辺りで花咲カニ祭りがあり、一杯10円程の子カニを食べたり、カジカを磯辺で獲ったりしたものだ。今回の旅で毛ガニ等色々な北海の食材を試したが、花咲ガニだけは食べることが出来なかった。
根室市歴史と自然の資料館に寄った後、春国岱の夕日を見に戻る。
根室に帰郷する時は必ず寄る春国岱の夕景
冬は氷が張っているので夕日の水面での照り返しがちょっと寂しい。
陽が落ちた後の空が赤く焼け春国台の森が浮かび上がる。
今日の宿「レイクサンセット」に向かう。
宿での朝食後外に出るとキタキツネが来ていた。この宿では風連湖上に撒き餌をしてオオワシやオジロワシの撮影ができることで有名である。キタキツネもそのことを知っていて、おこぼれを貰おうと言う魂胆のようだ。
トビ
撒き餌の時間が近ずくと、順番があってまずトビが飛来し、その後オジロワシやオオワシが来るそうである。
風連湖の氷上に集まってきたカメラマン
この一団は中国から来たツアー客で釧路の丹頂、風連湖のワシ、羅臼のシマフクロウの撮影が目的だそうだ。
ワシが来るまでの間、氷上で裸になりハシャグ若者達。
オジロワシ
ワシも現れて来た。イタリアから来た一団は道東はネイチャー派のカメラマンにとっては憧れの場所だと話してくれた。みなバズーカ砲みたいな大きなレンズや三脚を持って来ているのだが、飛行機でどうやって運んできたのか気になった。
いよいよ撒き餌が始まった。空にはオオワシ、オジロワシ、トビ、カラスなどが旋回する。
宿の主によれば、風連湖上で漁をしている漁師さんから売り物にらないような魚を分けてもらって撒き餌しているそうだ。
空中戦 I
カメラを初期化したが、シャッタースピードだけは初期化されていないのが分かり、カワセミ撮りに設定していたカメラが今日は役に立った。
空中戦 II
大きな鳥に交じってカラスもちゃっかり仲間入り。
空中戦 III
ワイルドパーティー I
ワイルドパーティー II

遠くにはエゾシカの群れが何をやってんだろうと横眼にワシの乱舞を見ながら湖を渡って行く。
空中戦 III
オオワシ
オオワシ と オジロワシ
空中戦 IV
餌を横取りしようとしている。
招かざる客 I
招かざる客 II
やはりオジロワシもあまり危険を冒したくないのか、この後飛び立った。
漁を終えた漁師のスノーモービルが湖上を疾走して来た。
ワシたちを蹴散らして猛スピードで進むスノーモービル。
この青い箱には売り物にならないような魚も入っていて、翌日の餌になるのだろうか。
ワシの宴も終りを迎え、撮影を終え根室市内に向かう。
沿岸氷で埋め尽くされた根室港に停泊する漁船とオジロワシ。
数日前までは流氷が港に入っていたが、風の流れが変わり港から離れてしまったと言う。
弁天島
子供の頃港が流氷で埋め尽くされ弁天島まで渡ることが出来たが、学校で禁止のお触れが出て 自分はまだ渡ったことがない。
沿岸氷で結氷した根室港とカラス
根室金比羅神社(ことひらじんじゃ)
文化3年(1806年)に北洋漁業開拓者高田屋嘉平が創建したと言う由緒ある神社。例大祭は北海道三大祭りの一つ。
この後納沙布灯台に向かい根室半島を一周する。
納沙布岬より国後島等北方領土を望む。北方領土などを望むことが出来るオーロラタワーは冬季休業で上ることは出来なかった。母校の根室高校前を通り明治公園に向かう。
明治公園
むかし明治牧場があった所。この先に根室高校があるが、通常の道で市内の家に帰るのではなく、この原っぱを歩いて帰ることをロマンス街道で帰ると言っていた。多分一人で帰るのには言わないだろうと思うが。
この夜は高校時代の友達などと行きつけの「遊々居」でO君も交え歓談する。
最終日中標津空港に行く途中霧多布の琵琶瀬展望台に寄る。
ここには何度も来たことがあるが、冬に来たのは初めてだと思う。
霧多布の湯沸岬灯台から浜中湾、落石方面を望む。
アゼチ岬と沿岸氷
映画「ハナミズキ」のロケ地で有名。
この後中標津空港に向かい飛行機に乗るが、翌日以降の悪天候のためか飛行機はほぼ満席であった。
北海道に来て花粉症で目がしょぼしょぼしていたのが治ったと思ったら、帰京したとたん強烈な花粉症がぶり返して、道東が懐かしく思うこの頃である。

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